漢字のとめ、はね、はらい、できないと0点? 教育の本当の目的とは/鴻上尚史
とめ、はね、はらい、できないと0点? 教育の本当の目的とは
もうね、この原稿は活字で書いているから紹介が難しいんだけど、「天」という字の右下の「ノ」の字の先が少し離れているだけで減点。ほんのちょっと、外れているだけですよ。 「青」という文字は、下の「月」の右上の角が丸く書いていたから減点。 以前、教師が、こうやって採点した後、「文字を正しく書きましょう」みたいな書き込みをしていて、その文字が「とめ、はね、はらい」がちゃんとできてなかった、なんて笑うしかない写真がツイートされてたことがありました。 これね、「なんのために字を学ぶか?」ということを完全に見失っている指導です。 それは、つまり、「教育とは何か?」という目的の話です。 教育は、学校だけで完結するものではありません。 当たり前ですね。 教育は、学校と社会をつなぐためにあります。ちゃんと勉強するのは、「よりよい社会人になるため」です。「よりよい社会人」になるために必要なことは、「ちゃんと読める字を書く」ことです。 それ以上でも以下でもありません。「きれいな字を書くと評価が上がる。だから、厳しく指導すべきだ」なんて言う人がいますが、そんなのは大きなお世話です。綺麗な字を書くかどうかは、本人が選ぶのです。美意識というのは、押しつけるものではないのです。 相手がストレスなく、ちゃんと読めること。手書きの文字で大切なのは、これだけです。 「天」の「ノ」が少し離れていても、「青」の角が丸くても、ちゃんと読めます。とめ、はねで1年生に0点 先生、厳しすぎませんか?#西日本新聞https://t.co/h70jdB0o5o
— 西日本新聞me (@nishinippon_dsg) April 3, 2021
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