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河村たかしの「メダルかじり」で思い出す、高田純次の伝説「メダルを口の中に」

文/椎名基樹

“東京誤倫”のボスキャラ登場

 倫理観を誤って炎上する人が続出することが、もはや裏の見所の感すらあった東京五輪。そんな“東京誤倫”の出場者のボスキャラは、どうやら名古屋市長・河村たかしだったようだ。圧倒的なしょうもなさは、時代錯誤、常識錯誤、衛生観念錯誤、ユーモアの錯誤と勘違いの塊であり、そのふてぶてしい笑顔は、なんだか妖怪じみて見えてくる。
河村たかし

河村たかしオフィシャルサイトより

 多様性を認め合う事をテーマに掲げたオリンピックで、じいさんたちがデリカシーの無さを露呈して炎上する事件がこれだけ続出すると、これが偶然とは思えなくなる。河村たかしは、最後にものすごい大狸が燻り出されたように感ずる。それにしても、どういうキャリア、人生をたどれば、他人の努力の結晶である金メダルを噛んでいいと勘違いできるのか不思議である。  河村たかしに対して、アスリートから批判の声が次々と上がった。中でも冬季オリンピックスピードスケートの金メダリスト、小平奈緒が嫌悪感を露わにしたことが印象に残った。スポーツマンシップの体現者、清廉の象徴のような彼女の一言は重く感じる。

3,000万円のダイヤの指輪を口の中に

 今回の河村たかしの蛮行を見て、私の世代は、30年以上前のバラエティー番組「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」(日本テレビ系)で高田純次清川虹子の指輪を口に含んだ、“宝石テロ”を思い出したのではないだろうか。  女優の清川虹子が3,000万円のダイヤの指輪を持っていると聞きつけた高田純次は、それを見せてもらいに清川の自宅にお邪魔する。清川虹子が指輪を取り出すと、高田純次はおもむろに、それを口に放り込んでしまう。清河は何発もビンタをするが、高田は指輪を口から出さない。ついに高田自ら指輪を口から出すと、ガムが絡み付いている。この放送は日本のバラエティー番組の伝説だ。
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高田純次も金メダルを口の中に……
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1968年生まれ。構成作家。『電気グルーヴのオールナイトニッポン』をはじめ『ピエール瀧のしょんないTV』などを担当。週刊SPA!にて読者投稿コーナー『バカはサイレンで泣く』、KAMINOGEにて『自己投影観戦記~できれば強くなりたかった~』を連載中。ツイッター @mo_shiina

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