仕事

“逮捕歴あり”の部下まで押しつけられ…45歳公務員の「悲惨な現実」。すぐ辞める若手の尻拭いをする毎日、残業は月60時間

管理職の名の下、残業代も支払われず限界まで働かされ、使い捨てにされる……。’08年に「名ばかり管理職」という言葉が生まれてから16年、空前の人手不足の今、多くの中年が職場で苛酷な労働に喘いでいる。その悲惨な現状を追い、日本特有の病理を探った!

安泰と思われた公務員でも中年は苦境に立たされていた

公務員・主査(45歳)/年収540万円
救われない中年社畜 地獄の実態

「納税通知書が落ちており、担当の職員に注意したら紛失にすら気づいていなかった。悪びれる様子なんて微塵もない」と憤る原口一晃さん(仮名・45歳)

中年が苦境に追い込まれているのは、民間企業に限った話ではない。東京近郊の市役所で中間管理職の主査を務める原口一晃さん(仮名・45歳)は、若手が異常なほど定着しない職場を自嘲気味に話す。 「もともと役所では、一時期に集中する納税の業務や給付金の交付など、マンパワーに頼る仕事が多い。だから、毎年のように新人を大量採用しているのですが、若手はクレーム対応や窓口業務を嫌ってすぐ辞めてしまう。業務経験が1年を超えただけで一人前と見なされる“2年目以降職員”という冗談のような呼び名があるほど(苦笑)。我々中年職員は自分の業務に加えて、新人の教育と尻拭いまでさせられ、仕事が溜まる一方です」

使えない非正規のしわ寄せも中年に!?

中年職員への仕事のしわ寄せに拍車をかけたのが、’20年に導入された地方公務員会計年度任用職員制度だ。非正規雇用が激増し、職員の質はさらに劣化したという。 「経験もスキルも不十分な非正規が増えた結果、業務のミスや遅滞が続発している。幹部は『人手不足だから仕方ない』と新人のミスに目を瞑り、退職者が増えるのを防ごうとするが、新人のフォローをするのはまたもや我々中堅職員。でも、運よく新人が一人前に育っても、その頃にはその何倍もの若手が辞めていく」 さらに、労働環境を悪化させる原因がある。驚くことに、犯歴を持つ職員がいるというのだ。役人は処罰が厳しいはずだが……。 「現実は、何をしてもクビにならないのが公務員。痴漢で2回の逮捕歴がある職員、盗撮で捕まった職員、部下にわいせつ画像を見せるセクハラ上司もいるが、一人もクビになってません。そんな元犯罪者の職員が、私の部署に異動してきたんです。ただでさえ忙しいのに、経験がある中年というだけで厄介者を押しつけられたようなもの……。何をしても解雇されないことを知っているから、はなから仕事をする気なんてない。 それに、子育て世代は残業が少ない部署に配属される一方、子育てが一段落した中年世代は長時間の残業を求められる部署に行かされる。労使協定では月45時間が上限ですが、これはあくまでも原則。実際、私は毎月60時間ほどは残業させられている。毎日胃が痛いし、残業は増えるし、体を壊さないか本当に心配です」 安泰と思われた公務員でも、中年は苦境に立たされている。
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中年の働き方が報われない理由とは…
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