「アベノミクス」円安・株高は本当に大丈夫!?
※<資料1>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=337002
それでも、今年2月から3月にかけて84円までドル高・円安が大きく進む局面がありました。これは当時、日銀が予想外のインフレ目標採用を決断したからだとの解説が少なくありませんでした。<資料1>を見ると、当時のドル/円と日本の金利にはほとんど関係ありませんが、それでも日銀の政策はドル/円相場に影響したのでしょうか。
ただ、<資料2>をご覧下さい。これはドル/円に、今度は米金利(米2年債利回り)を重ねたものです。これを見ると、3月84円へのドル高・円安は米金利が上昇した結果だったといえるでしょう。
※<資料2>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=337003
さて、そんな<資料2>からすると、解散決定以降のドル高・円安は米金利で説明できないものです。そもそも、日本の金利で説明できないものであることは、すでに<資料1>で見てきました。要するに、安倍自民党総裁の発言に反応した「安倍円安」とされる動きは、日米の金利ではほとんど説明できないものなのですが、それでもこれは続くのでしょうか。
◆自民支持低迷でも前代未聞の政策ができるのか!?
否、安倍さんの発言は、政策金利をマイナスにするとか、無制限で量的緩和をやる、または日銀に建設国債を引き取らせる、日銀法改正などほとんど前代未聞といってもいいような話ばかりだから、金利で説明できないような「前例なき円安」になっているかもしれないじゃないか、といった声もあるでしょうか。
ただ、そんな前代未聞の安倍氏の政策、「アベノミクス」は、本当に実現できるのでしょうか? フジTV『新報道2001』の政党支持率調査によると、解散決定以降、むしろ「安倍自民党」の支持率は低迷しているようですが。
上述の調査によると、自民党の支持率は10月中は27-32%で推移していました。ところが、野田総理の発言で解散が決定した11月14日以降の調査では23-24%と、むしろ伸び悩んでいるようです。これで、前代未聞の政策を主導し、「前例なき円安」をもたらすことが果たしてできるでしょうか。
<資料2>のように、ドル/円は米金利と基本的に相関関係にあります。その米金利が大幅に上昇し、3月は84円までドル高・円安となりました。今回の場合も、実は米金利上昇が「影の主役」として、「安倍円安」が継続するかの鍵を握ることになるのではないでしょうか。(了)
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/
11月中旬の解散・総選挙決定以降、円安・株高が大きく進みました。これは、安倍自民党総裁の金融緩和強化発言に反応した結果という解説が多いようです。でも、この「アベノミクス」(安倍氏の経済政策)期待の円安・株高はこのまま続くのでしょうか?
◆「安倍円安」への疑問
<資料1>をご覧下さい。これは、今年のドル/円に日本の金利(2年債利回り)を重ねたものです。両者はほとんど関係ないでしょう。
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