“イヤミ課長”木下ほうか、ブレイクで困惑「目立ちたくないんですよ」

 今年の流行語大賞にノミネートされた「はい、論破!」が決めゼリフ。バラエティ番組『痛快TV スカッとジャパン』の“イヤミ課長”役で、お茶の間の話題をさらっている木下ほうか。10代のときに井筒和幸監督『ガキ帝国』に出演し、映画の面白さに目覚めて以来、20年以上のキャリアを誇るベテランは、己の身に突如降りかかった“ブレイク”に戸惑いを隠さない。

木下ほうか

木下ほうか ’64年、大阪府生まれ。’81年、井筒和幸監督作『ガキ帝国』で俳優デビュー。大阪芸術大学舞台芸術科を卒業後、吉本新喜劇に入るが3年で退団。その後、映画を中心に活躍し、名脇役としての地位を確立。ドラマ『昼顔』の吉瀬美智子の夫役で注目を浴び、『痛快TV スカッとジャパン』の馬場課長役でブレイク

「正直、しんどいなと思うこともありますね。もちろん根底に感謝の気持ちはあるんですが、あまりにも変化が急すぎて……。電車に乗っても、他人の視線が気になってしょうがない。別に声を掛けてきたりする人はいないんですけどね(笑)。なんかヒソヒソ~って女子高生がLINEを交換しているような雰囲気とか。わかるじゃないですか、そういうの。逐一、見張られている感じがして落ち着かないですねぇ」

 居心地の悪さを感じつつ、「体形をベストな状態にキープするため、極力車は使わず電車に乗り続けたい」と言う。実は外見にかなり気を使うタイプだ。

「炭水化物ダイエットもしてますよ。今では、ロケ弁のご飯は半分残すように心掛けているんです。ジムに通えたらいいんですが、そのヒマもないほど立て続けに仕事が入っていて……」

 そうボヤく様子には、イヤミ課長のような押し出しの強さはまるでない。インタビュー当日は、初めて行うアニメのアフレコ(『ONE PIECE』の2時間スペシャル)を控えていた木下だが、「どんな手はずでやるのかさっぱり。迷惑かけるんじゃないかと心配で……」と、驚くほど低姿勢だ。

「僕自身は、弱いんですよ。だからこそ悪役ができるっていうのはあると思いますけどね。弱くないと弱い者の痛みはわからないですから。こういうことを言われたりされたりしたらイヤだなってことを経験的に知っているのは、演技に生かされている気がします」

「顔と名前が一致する」のはプラスじゃない

 あまたの映画で“名脇役”として発揮されてきた唯一無二の存在感は、たゆまぬ人間観察の賜物だった。

「今、やっていることも、昔からやってきたこととほとんど変わっていない。デビュー以来、9割がた悪役をやってきたので、イヤミ課長の役にもすんなり入り込めました。僕自身、セリフから撮り方までアイデアはかなり提供しています」

 柔らかい物腰とは裏腹に、妥協しない職人のような表情を見せる木下。イヤミ課長も、職人・木下の“作品”にほかならない。だからこそ、過熱ぎみのブームには困惑を覚えるという。

「演技だと何をやっても恥ずかしくないけれど、素に近いものはすごく恥ずかしい。ところがバラエティ番組では、さも素のようにつくったキャラを演じないといけないこともありますよね。それを見た人に、僕自身がそういう人物だと思われるのが、ちょっとキツいかな」

 バラエティ番組では、「離婚したくないから結婚はしない」といった独特の結婚観を披露して話題になった木下。“こじらせ中年”のイメージもあるが、本人いわく「バラエティ用にキャラをややつくり込んだら、独り歩きしてしまった」らしい。

「結局、“僕自身”がクローズアップされること自体に慣れてないんです。こういうインタビューでも、“僕の素顔を見せてほしい”というリクエストを暗に受けるわけですが、別に不特定多数の人に知ってもらいたいわけではないしなぁ……なんて思ってしまう。要するに、目立ちたくないんですよ」

 俳優なのに、目立ちたくない?

「スクリーンやテレビの上で目立ちたいだけで、普段、ちやほやされることとはちょっと違うんです」

 俳優にとって、名前と顔を一致させられることは、必ずしもプラスではない、と木下は言う。

「今や、僕が何をやっても“イヤミ課長”だと思われてしまう。『下町ロケット』の水原(主人公が持つ特許を狙う巨大企業『帝国重工』の本部長)役も、原作どおりに演じているのに、いつか僕がイヤミ課長のような言動をしだすのではないかと期待している人がいるようなんです。全然違うキャラクターなのになぁ……」

 かつて、“寅さん”と自身を重ねて見られすぎた渥美清や、死ぬまで無骨キャラを求められた高倉健のように、一定の強烈なイメージで見られるようになった俳優のジレンマが、木下にも起きているようだ。

「渥美清さんや高倉健さんとは全然レベルが違いますが、お客さんが求めるひとつの公的なイメージに縛られるつらさは少しわかります。スターならまだしも、僕ら脇役はそんなことで悩まなくていいはずなのに……。今年暮れくらいからは、外に出るときはマスクをしようかと思っています(笑)」

 これほどまでに、ブレイクしても嬉しそうじゃない人は珍しい。

「基本、ネガティブなんですよ。大阪に“へんこ”って言葉があるんですが(偏屈なガンコ者といった意味で使われる)、“僕がどんな人間か?”という質問に答えるならば、その言葉がいちぱんピッタリくると思います」

痛快TV スカッとジャパン(フジテレビ系)

『痛快TV スカッとジャパン』(フジテレビ系) 視聴者の身の回りの「スカッとした」話をショートドラマ化して紹介するバラエティ。木下が演じる「馬場課長」は、上司には媚を売り、部下には上から目線の強烈キャラが人気を呼んでいる

<取材・文/木俣 冬 撮影/尾藤能暢 ヘア&メイク/mahiro>

新感覚の氷点下ハイボール「ブラックニッカハイボール(350ml)6缶セット」を抽選で10名様にプレゼント

NIKKA
sponsored
「フリージングハイボール」とは、 クセのないクリアな飲み心地のブラックニッカ樽詰めハイボールを使いアサヒビールが独自に開発した氷点下(-2℃~0℃)抽…

合コンで「痛い男」認定される言動――初対面で年齢や容姿をいじる、勝手な判断やアドバイスをしがち…

合コンで「痛い」認定される男の発言には特徴がある
 飲み会や合コンでは、日夜「痛い発言」が飛び交っている。どんな発言が痛いと思われてしまうのか。ツイッターで男性の勘違いや女心の機微をつぶやいて多くのR…

連載

ばくち打ち/森巣博
番外編その3:「負け逃げ」の研究(32)
メンズファッションバイヤーMB
「冬のセール」で“格安良品な服”を手にいれる3つの方法
山田ゴメス
女子の間で秘かに流行りつつある「朝セックス」ブームは、男にとっても好都合なワケ
オヤ充のススメ/木村和久
“デリヘル先生”だけじゃない、最近の風俗トラブル&摘発に異変あり!?
フミ斎藤のプロレス講座/斎藤文彦
ストーンコールド“ロイヤルランブル”初優勝――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第240回(1997年編)
英語力ゼロの46歳バツイチおじさんが挑む「世界一周 花嫁探しの旅
「今夜、君に恋に落ちてしまいそうだぜ」――46歳のバツイチおじさんはクサすぎるセリフをさらりと口走った
原田まりる
芸の細かさが目立った2016年地味ハロウィン
大川弘一の「俺から目線」
3000円のハンバーガー――連続投資小説「おかねのかみさま」
プロギャンブラー・のぶき「人生の賭け方」
カップル成立数は100組超!「巨大シェアハウスなら女性と出会わないほうが難しい」
爪切男のタクシー×ハンター
風俗店で一回の射精と一回の恋をして気づく「人を好きになるのに理由なんていらない」
フモフモ編集長の今から始める2020年東京五輪“観戦穴場競技”探訪
希望の星は16歳のJK! ジャッジ次第で天国と地獄[五輪最恐の採点競技]とは?
元SKE48/SDN48・手束真知子の「フリーランスアイドル論」
アイドルはいつでも迷っているんです「集客ができない! フォロワーが少ない! 肩書きがない…」
おじさんメモリアル/鈴木涼美
「ね~え、一緒にお風呂入ろう?」リーマンショックで落ちぶれたおじさんの哀号
僕が旅に出る理由 in India/小橋賢児
北インド秘境で「宇宙に住んでいる」と実感した――小橋賢児・僕が旅に出る理由【最終回】

投稿受付中

バカはサイレンで泣く 投稿受付中
佐藤優の人生相談 投稿受付中