蓮池透さん 東電社員時代の社風を語る
※12/6発売の週刊SPA!「原発を造った男たちの原発批判を聞け」より
取材・文・撮影/週刊SPA!編集部
’09年まで東京電力の社員であった蓮池透氏は「世間的に見れば邪道ということも、電力会社は“自分達のやることがスタンダード”と平気でやっている。特に地方では『自分達はナンバー1企業、だから文句を言うな』という風潮がある」と指摘する。
「例えば玄海原発再稼動をめぐる九電のやらせメール問題。あの程度のことは、どこの電力会社もやっています。例えば、タウンミーティングや公開討論会で、応募ハガキを見て何人くらいの原発反対派が来るか予測します。地元でイベントを行い住民に理解してもらった、というのは原発推進の重要なステップ。失敗は許されません。ですから、反対派住民が大挙して押しかけることは防がないといけないのです。電力会社には原発賛成派・反対派に関するデータの蓄積がありますので、例えば5人の反対派が来るなら、30人は賛成派の住民をかき集める。集まらない場合は東電や関連企業の社員を『市民』として参加させます。私自身、『市民』役としてこの種の催しに参加させられたことがあります。もちろん社命です。賛成派の人員を確保するだけではなく、電力会社側が質問してもらいたいことをメモにして参加者に渡すこともあります。専門家でもない普通の主婦の人が『排気塔から出るコバルトの量は?』など、参加者の中にはメモをそのまま読んでしまって困ることもあったのですが」
電力会社特有の驕りは、本来、何にも増して優先されるべき、安全管理の分野でも深刻だったという。今年3月の事故発生以前から、老朽化が問題視されていた福島第一原発についても、「東電の中では、ほとんど事故の心配はされていませんでした」と蓮池氏は語る。
「それどころか、東電の経営陣は、減価償却のほとんど終わった福島第一を動かせば、それだけ儲かると、いかに原発の寿命を延ばすかということに腐心していました。経営を楽にしたい、利潤を大きくしたいという発想だったのでしょう。米国では、各原発に何年の何月何日まで、運転許可するという具体的な期限があるのですが、日本の場合、一般的に寿命40年とされていますけども、いつ止めるという明確な期限は定められていません。だから『点検評価したら、まだまだ大丈夫だとわかった』と10年寿命を延長してしまう。福島第一の原子炉については、老朽化だけでなく、東電は『年式の問題もある』と認めましたけど、安全性の低い旧式の原子炉を稼動させ続けるということは本来やるべきではありませんでした」
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