中華料理は体に悪いのか? 周富徳氏、佐野実氏の相次ぐ死去に…
ラーメン、ギョーザ、レバニラ、回鍋肉……。美味しくて、財布にも優しい中華料理は、サラリーマンの頼もしい味方だ。
その一方、大量の油を使ったり、濃い味つけだったりと、「中華料理=高カロリー・塩分が高い」というイメージがどうしてもつきまとう。今月、中華料理人の周富徳氏(享年71)とラーメン店「支那そば屋」の店主・佐野実氏(享年63)が相次いで死去したことも記憶に新しい。
昨年、国際糖尿病連合(IDF)が発表した調査によると、「世界各国の糖尿病患者数ランキング」の第1位は中国で、しかも、その患者数は年々上昇傾向にあるという。やはり、中華料理は体によくない食べ物なのか……?
そんな不安の声に対し、「中華料理は、本来、ヘルシーな食べ物」と反論するのは医師で医療ジャーナリストの森田豊氏だ。
「中華料理というのは、西洋料理などと比較しても、多くの色の野菜を使った多色な料理で、ポリフェノールやミネラルなど栄養のバランスに優れています。また、強力な炎で瞬時にカラッと炒めるため、加熱によるビタミン損失が少ないのです」
たしかに、中華料理には様々な野菜が使われている。では、ビタミンも豊富に、摂取できるにもかかわらず、中国では糖尿病が増加しているのだろうか?
「複数の要因が考えられるため、一概には言えませんが、アメリカやヨーロッパの人々と比べて、中国などアジアの人々は遺伝的に糖尿病になりやすいと言われています。また、ここ数年の急速な経済発展が引き起こしたライフスタイルの変化により、高エネルギー・高カロリーの欧米式の食事が流入し、好まれるようになったのも原因のひとつと考えられます」
中国に糖尿病患者が多いのは遺伝と環境の変化が原因。つまり、「中華料理はヘルシーな食べ物」という森田氏の主張は正しかったのだ。これで思う存分中華料理が食べられる……と思いきや、森田氏は以下のように留意を促す。
「中華料理はヘルシーな食べ物ですが、炒め物で使われる油の量が多いのは事実。続けて食べる場合は、回鍋肉や酢豚などは食べ過ぎず、棒棒鶏など油の少ないさっぱり系を注文するようにしましょう。また、中華料理に限った話ではありませんが、ラーメンとチャーハン、ラーメンとギョーザのような炭水化物同士のセットメニューは避けたほうが賢明です」
最後に、健康に気を遣う人におススメの中華料理の食べ方について聞いてみた。
「中華料理屋には必ず置いてある“お酢”。ギョーザや焼きそばによく使いますが、お酢に含まれるクエン酸は、体に脂肪を溜まりにくくする効果が望めます。また、四川料理などの辛い料理に使われる唐辛子に含まれるカプサイシンは、新陳代謝を高める発汗作用が期待できますね」
油の過剰摂取に注意し、ちょっとした食べ方の工夫さえすれば、中華料理はこれからも我々の心強い味方であってくれるはずだ。
●世界糖尿病デー 世界の糖尿病人口は3億8200万人に増加
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/020997.php
<取材・文/日刊SPA!取材班>
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