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イオン「放射能ゼロ宣言」の現場を行く

【イオンが「放射能ゼロ宣言」】
11月8日、大手スーパーのイオンが放射性物質"ゼロ"を目標にしていくと発表。放射性物質の自主検査の対象品目数をこれまでの約2.4倍に拡大し、その分析結果を店頭とホームページで定期的に公開するとともに、検出限界値(ゲルマニウム半導体検出器を使用)を超えて検出された商品の販売を見合わせると発表した

◆「ゼロ宣言」は生産者のことを考えていない

前述のとおり、イオンは「放射能ゼロ」を宣言。自主検査で検出限界値未満の商品しか並べないという方針を打ち出した。

これは、消費者にとっては喜ばしいことだ。しかし、生産者にとってはどうだろうか。突然、「あなたの商品は汚染されているので買いません」と言われてしまったら生産者は困るのではないか?

そこで、イオンの店舗に行ってみた。広い鮮魚コーナーでは、パック詰めされていない切り身の魚も充実していた。千葉県産のイワシ・ブリ・メカジキ、北海道産のカレイ、三陸産のサンマ、高知産の青アジ……。

イオン

イオンの店頭では、漁獲海域の表示と「放射性物質ゼロを目標」という看板が目立った。しかし、検査結果がどれだけだったのかという表示は見当たらなかった。知りたければお客様カウンターに行かなければならない

放射能調査結果を確認できるというホームページの大きなお知らせ看板は、鮮魚コーナーの片隅に置かれていたが、意識して探さないと目につかない。正面に置かれた産地表示の看板はすぐ目に飛び込んできた。

千葉県産のブリなどを買いレジで放射能検査について聞くと「サービスセンター」で聞けば教えてくれるという。しかし、カウンターが混み合っていてすぐに対応してもらえない状況。近くにいた店員に尋ねると、インフォメーションを勧められたので、そちらに向かった。

「魚の放射能検査をイオンさんが始めたと聞いたんですけど、自分の買った魚がどうなのかなと思って……」と聞くと、店員の女性はイオンのホームページをチェックして、「すべて店に並んでいるものは、数値をチェックしまして安全です。こまかい数値はイオンのホームページでわかります。検出せずになっていますね」

これではまったく意味がない。消費者は今自分が買おうとしているものがどうなのかを知りたいのだ。ホームページをチェックしてねとか、お客様カウンターで聞けば教えますよというのでは、まったく情報公開とは言えない。せっかく独自調査をしているのだったら、その結果を堂々と表示するべきではないのか。それは簡単にできるはずだ。

また、「放射能ゼロ宣言」についても聞いてみたかったのだが、イオン広報は「グリーンピースのアンケートについてのお答えはできません」の一点張りだった。

一方で、グリーンピースの花岡氏は「消費者が十分な商品情報を得て選択購入できる環境を整えることが、漠然とした不安からくる魚貝類の買い控えをおさえて生産者の支援につながる。少なくとも自主検査をしてウェブ上で情報公開しているイオンは、他社に先駆けてその一歩を踏み出した」と評価している。

⇒『「福島産」を積極的に買う70代女性』に続く
http://nikkan-spa.jp/106701

取材・文/北村土龍




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