「パナマ文書」問題で、ますます厳しくなる海外資産への包囲網
今年4月、オフショア金融サービスを手掛ける中米パナマの法律事務所から顧客リストを含む膨大なデータが流出し、各国の政財界の大物が租税回避を行っていたことが明るみに出た。
いわゆる「パナマ文書」問題を受け、富裕層の租税回避に対する国際的な批判が高まっており、資本フライトを取り巻く環境は、ますます厳しくなりそうだ。
国際社会による租税回避封じの要となりそうなのが、現在101か国・地域が導入する予定の「自動的情報交換」だ。
「この制度はOECDが主導する『共通報告基準』に従い、金融機関が非居住者の口座情報を税務当局に報告し、各国の税務当局間で情報共有する仕組みです」(海外投資に詳しい公認会計士)
’17年に55か国で施行され、日本を含む残りの国・地域は’18年から施行される。つまり、日本の居住者が海外に開設した口座情報は、’18年以降、国税庁に筒抜けとなるわけだ。
『タックスヘイヴン』(幻冬舎)などの著書がある作家・橘玲氏はこう指摘する。
「タックスヘイブンを利用すること自体には違法性はないが、パナマ文書に名前が出てくる個人や企業がこれほどまでにバッシングされるのは、貧富の格差が拡大するなかで、世界中で不公平感が漂っているから。そこに、税収が伸び悩んでいる各国が目をつけ、国際的な世論を追い風に徴税強化に乗り出したというわけです」
しかし、この制度の影響を受けるのは富裕層ばかりではない。
「本当にお金を持っている人は、法人口座や信託を利用するなど、適法なスキームを組んでいるのであまり問題ない。実は、個人名義で口座を持つ中間層が一番割を食うことになる。海外資産を相続していたり、海外のブローカーで株やFXをやり、利益が出ているのに申告していないケースは問題となるでしょう」(橘氏)
また、日本居住者にとってさらに気になる動きもある。
近年、出国税や国外財産調書を新たに創設し、国民の資産の流出を食い止める策に出てきているからだ。ただ、前者は1億円以上の有価証券を、後者に関しては海外に5000万円以上の資産を持っている人が対象であり、中間層にとっては無縁と言ってもいいかもしれない。
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