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奇才・山内ケンジが明かす「100%富裕層向け映画」を撮った本当の理由

 ヤキソバン、湯川専務、白戸家など数々のヒットCMを手がける売れっ子CMディレクターだった山内ケンジ。現在主宰する演劇ユニット「城山羊の会」のチケットは即日完売。岸田戯曲賞受賞作品を自身で映画化し、昨年11月に1週間限定で公開された映画『At the terrace テラスにて』は連日超満員を記録、現在、再上映中。今、小劇場界をもっとも賑わせる男が「富裕層映画」を撮った意外と切実な理由とは? 華やかなCMの世界からインディーズの世界へと飛び込んだ奇才の原点に迫る!

山内ケンジ――早速ですが、今回の新作は「100%富裕層向け」というスゴいキャッチコピーがついていますが……。

山内:正直、少しでも目立ちたい気持ちがありました。インディーズ映画って本当にキツいんですよ(笑)。演劇と違って、作ってから上映館が決まる行き当たりばったりの世界。確実に持ち出しになるので、なんとか注目されたくて。とはいえ、「富裕層向け」なんてターゲットを限定するようなコピーは、普通はご法度。言い換えると、お客さん来なくていいですと言ってるようなもんですからね。まあヤケクソですよ。

――なぜ、そんなヤケクソな気持ちになったのでしょうか?

山内:前作の映画『友だちのパパが好き』(’15年)が、自分でもとても気に入っていた作品だったんです。それで、内容はまったく普通のラブコメじゃないのに、多くの人に観てもらうため、あえてタイトルやポスターを明るいイメージにした。でも、実際は期待した動員数の4分の1くらいしかなくて、すごくがっかりしたんですよ。

――宣伝のもくろみが外れてしまったんですね。

山内:だったら、観る人を選ぶ映画に対して、「みんなが楽しめる映画ですよ」なんて無理して気を使って言いたくないなと。そこで、今回はその反動と言いますか、思いっきり観る人を選ぶコピーをつけてやろうと開き直ったんです。何十年も広告の世界で大衆を誘導するためのものを作ってきたけど、もう“広告のためのウソ”はやめようと。

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「とにかく面倒くさいのが嫌なんです」

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