「カメラを止めるな!」最新作は全てリモートで制作、上田慎一郎監督を直撃
日本アカデミー賞を受賞した「カメラを止めるな!」シリーズの第3作制作が先日発表された。新型コロナウイルスの影響で外出自粛を余儀なくされる中、映画撮影は完全リモート(遠隔)で行われる。前代未聞の試みにも、上田慎一郎監督の表情は明るい。先行きの見えない不安な今こそ、明るいエンターテイメント作品で多くの人を元気づけたいと意気込む。新型コロナにおける映画界への影響も踏まえ本作に懸ける思いを、上田監督にリモート取材を通して聞いた。
上田監督のTwitterアカウントを通じて12日に発表された「カメラを止めるな!」シリーズ第3作「カメラを止めるな!リモート大作戦!」。1作目の「カメラを止めるな!」と2作目の「カメラを止めるな!スピンオフ ハリウッド大作戦!」と異なり、最新作は20分の短編映画で4月末~来月初頭ごろにYouTubeで配信予定だ。
――最新作を制作した経緯や完全リモート撮影にした理由を教えてください。
上田監督:新型コロナの影響で毎日暗いニュースばかりを耳にします。クリエイター仲間の中でも仕事がトンダ(なくなった)といった話を聞くことも少なくありません。毎日のように自分には何ができるかという問いが頭を巡っていました。下を向いている人たちを少しでも明るくすることができないか。エンターテイメント作品を作ってきた映画人の1人として考えるようになりました。
ただ、外出自粛で普段通りの撮影は難しいことから、完全リモートでの撮影をすることにしました。方法論などもなかったけど、「なんとかなるだろう、できるだろう」と走り出しました。4月3日に着想し、翌日には企画書や物語の筋がおおむねできました。「カメラを止めるな!」のキャストやスタッフにも呼び掛けて現在進行中です。
――今作のテーマは何ですか?
上田監督:最新作には3つのテーマがあります。1つは明るいエンターテイメント作品を通じて、お客さん達に笑いを届けたい。2つ目はこういった状況で経済的に苦しいクリエイター達へ、物作りの可能性を示したい。知恵と工夫次第で難局を乗り切れることを伝えたいです。3つ目は新型コロナで経営危機に陥っているミニシアター(小規模映画館)を救う一助にしたいです。現在CF(クラウドファウンディングス)が行われている「ミニシアター・エイド基金」を通じてミニシアターを救うための支援活動が始まっております。本編はYouTubeで公開しますが、YouTubeでは見ることができない本作の特典映像(未公開映像や監督キャストメッセージ動画)を支援者の方へのリターンとして提供しています。
――映画を作るにしても、そもそもなぜ「カメラを止めるな!」最新作を選んだのでしょうか?
上田監督:新型コロナウイルスによる活動自粛を受け、映画界ではカメラを回すことができない状態です。撮影地に行くこともできませんし、創作活動にとって大きく制限されているのが現状です。ただ、そんな時だからこそ「カメラを止めるな!」という言葉が、もう一度自分に迫ってきました。今まさに「カメラを止めるな!」という言葉が必要な時だと思ったんです。
最新作は20分の短編、YouTubeで配信へ
今回のあらすじは、新型コロナで外出自粛を余儀なくされている日本が舞台。映画監督で主人公の日暮の元にプロデューサーから一本の電話が来る。「今月中に再現ドラマを1本作って」という無茶ぶりに、日暮は「この状況で撮影できませんよ」と渋るのだが……。プロデューサーから「スタッフキャスト会わずに完全リモートで作ります」との難題を突きつけられ、日暮は再現ドラマ作りに追われることになる。【拡散希望】制作決定!
— 上田慎一郎 (@shin0407) April 13, 2020
『カメラを止めるな!リモート大作戦!』
スタッフキャスト一度も会わずに完全リモート(遠隔)で短編映画を創ります。カメ止めチームに再結集してもらい現在絶賛ドタバタと制作中。4月末~5月頭頃に完成しだいYouTubeで公開予定です!(続#カメ止め #リモ止め #リモート映画 pic.twitter.com/Ii3RdICh0w
新型コロナで暗いニュースばかり、今こそ明るい映画が求められる
こんな時だからこそ「カメラを止めちゃいけない!」
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新聞記者兼ライター。スター・ウォーズのキャラクターと、冬の必需品「ホッカイロ」をこよなく愛すことから命名。「今」話題になっていることを自分なりに深掘りします。裁判、LGBTや在日コリアンといったマイノリティ、貧困問題などに関心あります。Twitter:@hokkairo_ren
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