奇才・山内ケンジが明かす「100%富裕層向け映画」を撮った本当の理由
――もっと大きな劇場で公演をしたり、インディーズではなく大きな製作配給会社で映画を作ったりするつもりはないんですか?
山内:それもよく言われるんですけどね。考えてないわけじゃないんですが、演劇の場合、大きな劇場でやると物理的に声を大きく張らないといけなくて、今の僕の“日常の会話劇”とは合わないんです。マイクを通したとしても、それがバレると、お客さんもシラケちゃいますしね。どうしてもできる気がしなくて。
――ご自分で納得できないことはとことん曲げない性格ですか?
山内:納得というよりも、とにかく面倒くさいのが嫌なんです。たとえば大劇場で1万人を動員しようと思ったら、今よりも有名な俳優さんをキャスティングしなきゃいけないでしょ。スケジュールの忙しい人たちと、ここは空いてる、空いてないみたいなことを、この先繰り返すのかと思うと面倒だなって(笑)。映画も同じで、規模が大きくなるほどこのキャスティングじゃダメとか、このホンじゃ受け入れられないとか、そもそも原作ものじゃないと企画が通らないとか、いろんな人が意見を言ってどんどん自由度が下がっていくから。今後も大きな商業映画ではなくて、自分の好きなものを作って、それを受け入れてくれる人のために、地道に続けたいんです。
※このインタビューは2/21発売の週刊SPA!のインタビュー連載『エッジな人々』から一部抜粋したものです
【山内ケンジ】
’58年、東京都生まれ。CMディレクターとして活躍する傍ら、「城山羊の会」を主宰し全公演の作・演出を行う。’15年に『トロワグロ』で第59回岸田國士戯曲賞を受賞。長編映画監督作は『ミツコ感覚』(’11年)、『友だちのパパが好き』(’15年)に続き今回が3作目
取材・文/福田フクスケ 撮影/水野嘉之
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