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野球部女子マネージャーに対する世間のイメージに物申す!「むしろ、甲子園に連れていってやんよ」

コンディションを整えるトレーナーのような役割も

「印象深かったのは、ストレッチの補助やテーピング、アイシングといったトレーナー的な仕事。正しいやり方を本などで調べながらやっていた。選手のコンディションに直結するものなので、間違えてはいけないというプレッシャーもありながら、良いパフォーマンスを発揮するための手助けになるというやりがいがあったと思う」(野球部マネージャー経験者のDさん・20代女性)  このように、マネージャーが選手のコンディションを整えるための手助けをしている学校もある。スポーツトレーナーになった先輩や、体育系の学部に進学した先輩にノウハウを教わることも。また、簡単に思われる作業でも細かい部分で配慮が求められる。 「アイシングのために氷を袋に詰めるとき、空気が入らないよう吸引するのが大変だった」(Aさん)  一見すると「氷を詰めるだけじゃないの?」と思われがちなアイシングも、より効果的に患部を冷やすために、きちんと袋のなかの空気を抜いている。これが意外と難しいのだ。 マネージャ

会計やスケジュール調整など、まさに“マネジメント”業務も

 消耗品の管理や会計業務をはじめ、裏方の仕事も盛りだくさん。公立高校など、ひとつのグラウンドを複数の部活動で共有している場合は、グラウンドの利用スケジュールを調整する役割を担うことも。 「自分がグラウンドを確保しなければみんなが満足に練習できないため、気合を入れて交渉していた」(Dさん)  筆者の出身高校(都立)の場合、グラウンドの確保はまさにバトルだった。サッカー部、ラグビー部、ハンドボール部といった他部のマネージャーと会議を開き、交渉する。ときには、ほぼ口論のような感じで話し合いが進むことも。でも、必死なのはお互いさまだ。結果的に、バトルを重ねるごとにどんどん仲良くなるという、少年漫画のような体験をした。もちろん、仲良くなっても交渉には手を抜かない。  ほかにも、生徒会から予算を支給してもらうべく、校内のプレゼン大会に出たこともあった。こんなふうに、“チーム”の代表はキャプテン、“部”の代表はマネージャー、というような体制をとっているところも結構あるのではないだろうか。

女子マネはニコニコ応援しているだけじゃない!

 今回紹介したように、マネージャーは決してキラキラと選手を応援しているだけではない。 「マネージャーって、ニコニコ応援しながら立っているイメージがあると思うんですけど、手が空いているときもずっとボールを縫っていたり(※縫い目が切れたボールを手縫いで補修する)……暇な時間なんてまったくありませんでした」(野球部マネージャー経験者のEさん・20代女性) 「先生方、保護者の方、OB・OG、他部……いろんな人と調整して、選手が野球をできる環境を整えています。ニコニコ笑っていればいいだけじゃないんです!」(Dさん)  今年も、甲子園で数々の熱戦が繰り広げられている。マネージャーの姿に注目が集まることも多いだろう。スコアブックを手にベンチから笑顔で応援する姿、大会に向けて千羽鶴やお守りを作ったエピソード……など、“献身的な女のコ”をイメージしやすい話が取り上げられがちだが、彼女たちがこの舞台にたどり着けたのは、日ごろのたくましい仕事っぷりがあったからだ(もちろん選手たちの頑張りは大前提として)。 「俺たちがマネージャーを甲子園に連れていく」と思ってもらえるのは、マネージャー冥利に尽きること。一方で、マネージャーも「自分がみんなを甲子園に連れていく」という意気込みのもと、日々グラウンドを駆け回っている。彼女たちが内に秘める情熱や闘志にも、ぜひ目を向けてみてほしい。 <取材・文/笹沼杏佳>
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