更新日:2018年04月27日 13:44
お金

「ICOの基軸通貨」イーサリアム母さんは子だくさん!――マンガで覚える「仮想通貨今昔物語」

「Augur」で保険業界に革命が起きる!?

 このOMGは日本国内の取引所では扱われていないが、日本でも取引可能なイーサリアムベースのトークンとしてはAugur(オーガー/発行される“通貨”はREP)がある。その名前の意味するところは「占い師」。イーサリアムのスマートコントラクト技術を利用した、分散型の“未来予想”市場をつくりあげるプラットフォームだ。  難解な用語だらけでピンと来ない人も多かろうが、「胴元のいないギャンブル」を想像してみるといい。オーガーを活用すれば、誰もが一定のオーガーを支払って「明日の巨人・阪神戦はどっちが勝つか」といったイベントをネットワーク上にアップすることが可能だ。それに対して一般のユーザーたちは個々に予想。その予測データを自動集計して、オッズの算出、掛け金の預かりから事実の認定、配当までをオーガーを活用すれば自動化できてしまうのだ。

公開されているAugurのβ版。いくつかの”イベント”がアップされている

特に材料はないものの高値更新中のAugur(coinmarketcapより)

 そのため、「オーガーは保険業界に革命をもたらす!」などと持てはやされた時期もあった。というのも、掛け捨てタイプの保険の場合、病気にならなければ保険金は支払われない。病気になったと思っても医者の判断と保険会社の判断(事実の認定)に応じて、支払われる保険金が変わることもしばしば。  一方、一定のオーガーを支払って自ら「私は○年以内に病気にかかるかも」というイベントをアップした場合には、医療の専門家らが個々にその可能性を算出し、自動集計したうえで病気になった場合の保険金の払い戻し率を弾き出す。医者にかかり、さらに多くの医療関係者たちが「病気にかかった」と事実認定した場合には、自動的に保険金を支払う仕組みを作り上げることが可能とされたのだ。  ただし、オーガーに関連するプロジェクトはこれといって進んでいない……。2016年には予測市場をつくるオーガーのβ版が公開されたが、その活用法は限定的。イーサリアム母さんも我が子の行く末を不安視していたのだが、2017年5月以降の仮想通貨ブームに乗って、何の材料もないオーガーも1年で20倍に上昇。知らぬ間に大きく成長してしまった次第だ。

日本発のICO用トークン!「COMSA」

 一方、日本発のイーサリアムベースのトークンとして2017年に注目を集めたのがCOMSA(コムサ/CMS)だ。発行主体は熱狂的な“ザイファー”を獲得している仮想通貨取引所「ZaifExchange」で知られるテックビューロ。「ICOが簡単に行えるプラットフォーム」としてリリースされたコムサは、著名起業家の家入一真氏率いるクラウドファンディングサイト運営企業「CAMPFIRE」などがいち早くコムサを利用してICOを行うとリリース発表したこともあって人気が爆発。100億円超を調達する大型ICO案件となったのだ。 COMSAホームページ ただし、ICOに際してコムサはひと騒動起こしている。CAMPFIRE側が「COMSA上でのICOの実施を視野に入れ、ICOの枠組み等につきましてTB社(テックビューロのこと)と協議を行ったことはございますが、具体的な条件や内容に関して交渉を行ったことは一切無く、最終合意に至った事実も一切ございません」と発表したのだ……。

COMSAの発行主体となるテックビューロとCAMPFIREの仲違いぶりが如実に見えるリリース

 さらに、そのリリースでは「一切の前置き無く『仮想通貨取引所システムのOEM提供(注:CAMPFIREは『FIREX』という名の取引所をTB社のOEMを受けて運営していた)を同月(注:9月)30日に終了させる』との通達をTB社から受け、同月14日にも『COMSA上でのICOの実施を前提とした業務提携を解消する』との一方的な通知を受け……」と内情も暴露した。  当然のことながら、コムサを巡る喧嘩はキャンプファイヤーよろしく炎上。今なお、決裂したまんまのようだ……。  なお、コムサプロジェクトではイーサリアムベースのトークンに加えて、NEM(ネム/XEM)をベースにしたトークンも発行されており、ザイファー(ZaifExchange支持者)たちの間では「イムサ」「ネムサ」の愛称で使い分けられている。ともにICO価格を上回る水準で今も取引されているが、ともに若干息切れ気味。日本のICOを加速させるポテンシャルを秘めた両者なだけに、温かい目で見守りたい。

イーサリアムベースのCOMSAチャート(coinmarketcapより)

ネムベースのCOMSAチャート(coinmarketcapより)

暴落後に低空飛行続ける「Numerai」

 とはいえ、一向に“成長”しないイーサリアムベースのトークンも存在する。その悪例の1つが、Numerai(ヌメライ)だ。  このヌメライはイーサリアム同様、仮想通貨ではなくプラットフォームとしての機能を有する。目的は「ブロックチェーン上にアップされたさまざまなトレードロジックを活用して最強のヘッジファンドを作り上げる」こと。ヌメライ上では、世界中のデータ科学者たちからトレードの売買ロジックなどが提供され、トレード成績のいいロジックを考案した科学者には仮想通貨Numeraie(ニュメレール/NMR)が報酬として支払われる仕組みだ。「世界中の科学者たちの英知を結集して、超高性能な人工知能ヘッジファンドをつくりあげるぞ!」という意欲的なプロジェクトなのだ。

取引所上場直後に爆騰&暴落を演じたヌメライ……(coinmarketcapより)

 その斬新な発想から、当初から多くのベンチャーキャピタルやエンジェル投資家がヌメライプロジェクトに出資。スタートアップ時点で750万ドルも調達したため、ICOはせず、2017年6月にいきなり仮想通貨取引所に上場したことも話題になった。  しかしICOがなかったため、上場直後こそヌメライにありつけなかった投資家の買い注文が殺到して大暴騰したが、すぐさま大暴落! 1週間足らずで6倍に急騰して6分の1に急落するという乱高下を演じ、今なお”沼“にどっぷり浸かるがごとく、停滞しているのだ。  いずれにしろ、イーサリアムの子供たちは個性派揃い。その個性にスポットライトが当たればオミセゴー並みの大ブレイクを果たす子たちはまだまだ現れる……かも?
えりしー@仮想通貨漫画ブログ @erishiiiii

えりしー@仮想通貨漫画ブログ @erishiiiii

イラスト●えりしー@仮想通貨漫画ブログ(@erishiiiii)  仮想通貨を美少女に擬人化させた初心者向けの解説ブログ(仮想通貨女子部!https://cryptogirls.net/)を運営。FXで数百万円の損失を出した苦い経験を生かして、’17年から仮想通貨投資を開始。’17年のリップル急騰の波に乗り、瞬く間に過去の負け分を取り返すことに成功! 大のリップラーで、今も大半の仮想通貨資産をリップルで所有しているが、身内にはそのことを秘密にしているとか…… 解説/SPA!仮想通貨取材班

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