マネー

1000万以上の貯蓄が200万に…仮想通貨相場に翻弄された経済担当記者の顛末

 現在は相場を取り戻しつつもあるが、いまだ乱高下を繰り返す仮想通貨。2017年は1年間でビットコインの価格が約20倍になるなど、“仮想通貨元年”とも呼ばれた。もはや落ちてるカネを拾うがごとし……1億円以上の利益をあげて「億り人」になったひとたちが脚光を浴び、マスコミ各社で取りあげられる機会も多かった。しかし1月16日、世界各国の規制のニュースを受けてビットコインが大暴落。さらに26日、国内2位の大手取引所コインチェックが約580億円相当のNEMを流出させてしまった事件を機に歯止めがきかない状態に陥った。

 それまで小躍りしていた多くのひとが大打撃を受け、いま悲劇のエピソードがネット上に拡散されているが、それは一般人に限った話ではない。なかには、いち早く情報を得ていたマスコミ関係者の姿も……。

仮想通貨

仮想通貨の相場に翻弄された記者の末路…


「正直、かなり儲けたなとは思います。これはすごい抜け道だなと」

 昨年末、満面の笑みでこう話していたのは大手紙の経済担当記者・新藤さん(仮名)。紙面には載らないようなネット記事用のネタ取材で、初めて「ビットコイン」などの仮想通貨といわれる存在に出会った。それは1年前の春のことだった。

「我々は職業柄、株の売買を自由に行うことはできません。インサイダー取引になってしまうような銘柄は買えませんし、疑わしい売買も自主的に控える。株を買うごとに、所属部署や本社に報告する社内ルールだってある。しかし、仮想通貨にそのルールは適応されなかったんです」

 当時、やっとビットコインの存在が世に知れ渡ったタイミング。ビットコインをめぐる殺人事件まで発生し、様々な取材をするなかで、同僚や部下、ライバル社の記者といったマスコミ関係者らも「ビットコインは投資対象になるのではないか」といううっすらとした期待があった。仮想通貨保有者、取引所の関係者らを取材し、会う回数も知識も増えると、去年の夏ごろには口座を開設し、ビットコインに加え、リップルコインという別の仮想通貨を計200万円分購入していた。

「仮想通貨の取材をしていると、みんながみんな『これは儲かるよ』と言うのです。刷り込みというか、洗脳されたのような感じで『よし俺も買おう』となったんですね」

 仮想通貨を保有する記者が、仮想通貨について「良い評判」を記事に書いて流す。これが株取引であれば、法に抵触してしまうし、もちろん、経済担当記者としては絶対にやってはならないこと。しかし、株式ではなく仮想通貨であり、多少の後ろめたさはあったものの、“法を犯してはいない”という大義名分がある。仮想通貨についてのポジティブな取材を重ね記事を書き続け、その間に仮想通貨も買い増した。昨年11月の初めには、貯蓄の半分以上を仮想通貨に換えており、総額は900万を超えた。

 それからわずか1週間後のこと。朝起きて新聞をチェックしていると、携帯電話に同業他社の記者仲間から連絡が入った。ビットコインをはじめとした仮想通貨の価格が、すさまじい勢いで上昇しているというのだ。新藤さんは仮想通貨のチャートを見て目を疑った。ほんの数日前まで90万円台だったビットコインの価格が、100万円を超えたのだ。保有していた別の仮想通貨も、ビットコインに引っ張られるような形で数十パーセントも価格が上昇している。

「それまでも、北朝鮮がミサイルを打ったり不安なニュースが出るたびに、仮想通貨の価格は上昇していた。あのタイミングでこんなに上昇するなんて。本当に信じられなくて」

 年末ごろにはビットコインの価格は200万円を突破。900万円ちょっとだった資産は倍以上の2000万円を超え、夢か現実かわからないような不思議な感覚だった。このころには預貯金のほとんどを仮想通貨に換えては、毎日のようにチャートを見てにやけた。

「何もしなくても、仮想通貨は絶対に上がる。そんな幻想に囚われていたんだと思います。年を越しても仮想通貨は上がり続け、すでに日本円の預貯金のほとんどを仮想通貨に換えていた。資産は2500万円を超え、このままいけば会社を辞められる、専業トレーダーでもやるか……などと思っていたのですが」

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パニックになり損切りどころではなかった

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