「ベルサイユ宮殿を散歩してたら『ベルばら』を歌いたくなった」アニソン界のプリンス・影山ヒロノブ
――私の中で気になったのが、「薔薇は美しく散る」と、「炎のたからもの」と、「ルパン三世 愛のテーマ」です。これらは70年代の曲で、私も大好きなんですけど、これらの曲ってどちらかっていうと、アニメタルの坂本英三さんが選びそうな曲だなって思ったんですよね。実際「ベルばら」は、アニメタルでやっていますし、その中でも特に坂本さんが好きそうだなって。
影山:ドラマチック系、哀愁系――。
――そうなんですよ。メタルって結構、哀愁、様式美とかそういう世界じゃないですか。ですからすごく坂本さんの匂いを感じたんです。
影山:英ちゃんがやってることは意識してなかったな。『ルパン三世』は水木さんの歌だけど、しょっちゅう水木さんがこの歌を歌ってるのを聞いてて、「へえ、水木さんってこういう落ち着いたヤツもあるんだ」って思ってたから、今回自分で選んだし。『炎のたからもの』とかもそうだけど、「Get Wild」とか、「THE REAL FOLK BLUES」とか、僕よりもうちょっと若い年代の曲は、ランティスのスタッフたちが、「これがいいんじゃない」って選んで、そういう曲も入ってます。
――「Get Wild」はちょうど、私の世代です。高校生ぐらいですね、TVアニメの『シティーハンター』観てました。
影山:「Get Wild」なんか、やっぱりロックだからワンコーラス目とツーコーラス目で歌うリズムとかって、ちょっと変わったりするじゃないですか。この曲はエンジニアの女の子が“直撃”で、レコーディングしてた時に、俺は家で覚えてきたつもりでも、ちょっと間違ってたりすると、「影山さん、今のところ譜割り、違いますよ」ってその子に言われたりしたよ(笑)。そういうとこって、やっぱりアニソンってすごいなっていうか、染み込んでんだなと思ったりしましたね。
――「炎のたからもの」は『ルパン三世 カリオストロの城』ですよね。これは他の選曲と比べると、結構マニアックな部類に入りそうではあるんですけど。
影山:そうですね。ただ『カリオストロ』自体はテレビでちょくちょく放送されてるから、ファンが多いっちゃ多いとは思うんですよね。
――この中で一番メタル系に近いかなって曲は『ベルばら』ですかね。
影山:俺は2016年のフランスのジャパンエキスポにゲストで呼ばれて、『ドラゴンボールZ』歌いに行ったんですよ。その時に、ベルサイユ宮殿に初めて行って、庭とかみんなで散歩してたんです。そしたら、なんか知らないけど、自分の頭の中をこのメロディがすごくリフレインして。日本に帰ってきてから、来年、生放送番組の企画で何かやろうっていった時に、「じゃあ、アニソンをカバーして、『薔薇は美しく散る』とかやったら、メッチャいいな……」と思ったんです。この曲が、アニソンカバーをやろうと思ったきっかけの曲なんですよ。
――実はアニメタルでは、この曲が代表曲みたいになってるんですよね。
影山:「ギャー」ってやってんでしょ?
――ええ。GALNERYUSのSyuさんがこの曲を好きらしくて(笑)。
影山:GALNERYUSのボーカルの小野正利さんは、彼がアニソン歌ってる頃に、俺が当時キッズステーションでやってた番組のゲストに来てくれました。
(やまの・しゃりん)漫画家・ジャパメタ評論家。1971年生まれ。『マンガ嫌韓流』(晋遊舎)シリーズが累計100万部突破。ヘビメタマニアとしても有名。最新刊は『ジャパメタの逆襲』(扶桑社新書)
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『影山ヒロノブBEST カゲちゃんパック~君と僕の大行進~』 影山ヒロノブ40周年記念に相応しいCD2枚組ベストアルバム。アニメ『ドラゴンボールZ』『聖闘士星矢』『宇宙船サジタリウス』『鬼神童子ZENKI』、特撮『電撃戦隊チェンジマン』『鳥人戦隊ジェットマン』などをはじめ、名曲38曲を一挙収録。日本コロムビアより2月14日に発売。 |
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