HELLOWEENとX JAPANは、似ているとされている。X JAPANはHELLOWEENの「パクリ」という酷い言い方もある。しかし筆者は似ていると思っていない。だが大雑把に分類すれば、似ていることになるのだろう。80年代後半～90年代初頭頃のメタラー界隈では、HELLOWEENタイプのバンドはすべからく「パクリ」「フォロワー」と見なされ、叩かれやすい空気があり、HELLOWEENとX JAPANの比較は、その流れの起点だったのだ。というわけで、類似点と違いをあげてみよう。 　類似点は、80年代後半期に登場したメロディックスピードメタルを音楽性の核とするバンドであること、5人組のツインギター編成であること、ヴォーカルがハイトーンであること、10分を超える長編曲があること、アニメっぽい音楽性とされていたこと、IRON MAIDENの影響下にあることなど。そして、現在も活動中であることも付け加えていいだろう。 　冒頭で紹介したように、HELLOWEENはメロスピの始祖であり、またX JAPANも、インディーズ時代はスピード歌謡メタルと揶揄されていた。どちらも、既存のメタルよりも速いテンポで、メロディアスな音楽内容だったのだから、大雑把に見れば、似ていると言っていい。それに、彼らが表舞台に現れた80年代、メロディックスピードメタルに分類されるバンドは、HELLOWEENとXの他にはいなかったのだから。 　だが、メロディックスピードメタルの音楽性を持つバンドが大量に存在する今の視点で見れば、両バンドはまったくの別モノと言える。メロスピ・バンドはその多くが5人組のツインギター編成で、ハイトーン・ヴォーカルで、長編曲大好きなのだから。わかりやすいメロディを作れば、アニソンっぽくなるのも道理だし、IRON MAIDENの影響下にあるといっても、そもそもIRON MAIDENはヘヴィメタルという音楽ジャンルの代表バンドのひとつであり、IRON MAIDENの影響下にあるバンドは少なくない。 　唯一、配布ビデオVer.の「紅（English ver）」のギターソロが、HELLOWEEN「Ride The Sky」と酷似しているくらいのもので、該当部分のギターソロはのちに変わっている（影響を消化させている）。だがこれは仕方がない。初期HELLOWEENのツインギターはあまりにも見事すぎて、もはや真似するしかないのだ（笑）。悪いのは、パクらざるを得ないほどの見事なツインギターを聴かせたHELLOWEENの方である！