警察よりも頼りになるのは見知らぬ人?――「お金0.0」ビットコイン盗まレーター日記<第6回>
――Aさん
出野さんこんにちは。
今回の経緯を書籍化したら半分くらい取り戻せるんじゃないかな。
出版グループで出版企画を超速で作ってもらってはどうだろう。
――――――
??????????
なにを言っているんだ、この人は。
あれ?またコメントついた。
――堀江貴文
たしかにいけるかも
――――――
え?
え?え?ホリエモン?え?そうなの?
この人たち…、本人そっちのけで会話し始めた…。どんどん話が進んでる…。
どうしよう。いや、そもそも被害届も出せなかったんだから、僕に手段は残ってない。
どうなるかわからないけど、乗っかるしかないのか。肯定か…、拒絶か…。でもこの人たち、
軽すぎないか?ほんとに僕の状況わかってんのかな。ぼくは、全財産、盗まれたんですよ。
A「デショ。ベストタイミングだよね。ビットコイン盗まれました日記」
僕「悲しいかな、面白い…」
僕は乗っかることにした。
A「そうなのよ。盗まれたものを取り戻したい気持ちって、不特定多数の傍観者の同意を得にくいからコンテンツにならないのだけど、その状況を先人の知恵的にコミカルに描けたらとても良質なコンテンツになる。しかも環境的に全ての先行者が「儲かる儲かる」言ってるところに出すととても目立つ」
僕「早速やりたいです」
よくわからない。正直よくわからないけど、この人は味方かもしれない。僕に見えてないものが見えていて、困っている僕を助けようとしてくれているのかもしれない。方法は理解できないけど、もしかしたらいい人なのかもしれない。どうせ僕に失うものはないんだし、ダメ元でお願いしてみよう。
A「二番手はもう出せないので、スピーディにがんばってみてください。読んで笑えるものを。コンセプトやタイトル等で僕の手助けが必要なときは助けるのでいつでもお声掛けを」
僕「ありがとうございます!」
頼もしい。こんな状況で自信満々に人助けができるものだろうか。そもそもこの人にメリットもないのに、なんで助けてくれるんだろうか。
A「大丈夫。ビットコイン盗まレーターっていう肩書きの人、モテる。」
いやいやいやいやいやいやいやいや。
それはない!!!んなわけないでしょ!いや、どうだろ、モテるのかな。ほんと?
僕「はい」
僕は長そうなものに巻かれることにした。
――――――
A「たとえば↓」
局『今日はビットコイン盗まレーターの脇甘男さんにお越しいただきました。
脇さんよろしくおねがいします』
脇『こちらこそ』
とかテレビでめっちゃ使いやすい。
――――――
この人!!!やっぱりバカにしてる!!!絶対たのしんでる!!!!!!!!
次週につづく
(いでの・たつや) 1994年、兵庫県生まれ。元かけだし俳優、高校卒業と同時に上京。文学座附属演劇研究所卒業後、エキストラ出演やアルバイト勤務を華麗にこなし、たまたま仮想通貨で得た大金を秒速で盗まれる。Twitterアカウント(@tatsuya_ideno)
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