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お弁当「玉子屋」の経営術がスタンフォード大学MBAの教材になっていた

受講生が関心を寄せた2つのポイント

「ファング教授が論文にまとめ、最初に授業で発表されたのはその年の10月。大変好評だったと連絡をいただきました。特に受講生は二つのポイントに関心を寄せたそうです。  一つは、なぜ特別に優秀ではないスタッフをそろえて使っているかということ。あらゆる業種において、ナンバーワンの企業は、いかに優秀な人材をそろえ、業務効果を高めるかを追求している。それなのに、優秀ではない人材で、どうしてナンバーワンになれたのか。『悪ガキ? what’s』ですよね。  もう一つは、これだけのビジネスモデルで、なぜ他の都市で展開しないのか。スタンフォード大学の大学院に来るような頭のいい人たちは、基本的に拡大志向ですから、疑問で仕方がない。  そこで結局『玉子屋の社長に来てもらおう』ということなり、翌月の11月、スタンフォード大学を訪れ、ファング教授の講座で玉子屋の話をさせていただきました」
玉子屋

これで450円、みそ汁つき!

 ファング教授の論文はハーバード大学などほかの大学生も読むことが出来、サプライチェーンマネジメントの教材としてだけでなく、パフォーマンスを引き出すための人材活用の事例として使われることもあるという。  以来、ファング教授は2年に1度、情報をアップデートするために玉子屋を訪れ、いまでも、玉子屋の経営スタイルはケーススタディとして使われているそうだ。  やっぱり日本の中小企業はすごかった。 【菅原勇一郎】 1969年東京生まれ。立教大学卒業、富士銀行(現みずほ銀行)入行。流通を学ぶため、小さなマーケティング会社に転職し、1997年から「玉子屋」に入社。葬儀やパーティ用の仕出し屋「玉乃家」も設立。2004年社長になり、97年当時2億円くらいだった売り上げを、90億円までに。近著に『日替わり弁当のみで年商70億円 スタンフォード大学MBAの教材に/東京大田区・弁当屋のすごい経営
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日替わり弁当のみで年商70億円スタンフォード大学MBAの教材に 東京大田区・弁当屋のすごい経営

なぜお弁当の「玉子屋」には「元気のいい、生き生きと働くスタッフ」が集まるのか―。中小企業だからできる「面白経営」の神髄。

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