更新日:2023年03月12日 08:52
ニュース

ゴーン前会長の報道は恥さらし? 日本の司法は文明に値しない/倉山満

異常なまでの日本の検察の勝率になされる一般的な3つの説明とは?

 異常なまでの検察の勝率は、一般に3つの説明がなされる。  1つは、検察は絶対に勝てる事件だけを起訴しているとの見立てだ。仮に凶悪犯であっても、少しでも無罪の可能性があっても、負けるのが嫌で起訴しない。巨悪を見逃しているとの批判だ。  2つは、自白主義である。現行憲法及び刑事訴訟法は、自白のみによる挙証を認めていない。物証がなければ、有罪にはできない。  そこで検察は、名人芸を磨き上げた。取り調べにおいて、被疑者本人から自白を引き出し、物証を引き出すのである。自白さえ引き出せば、物証は得られる。これで有罪にできない訳がない。  ちなみに、あるアメリカ人研究者が、「日本は他の国と同じような制度なのに、なぜ有罪率が高いのだろう」と調査したことがあった。最初こそ検察官は取材に協力的だったが、「日本の検察は自白を引き出すのが異様に上手い」との事実にたどり着いた瞬間、非協力的になったとか。  3つめが、裁判所が検察とグルである、との指摘だ。  制度上、逮捕・勾留・勾留の延長は検察が申し立て、裁判所が許可する。これらは8割以上の確率で認められる。口の悪い人は、「裁判所は検察の自動販売機」と呼ぶ。逆に、保釈は弁護人が裁判所に申し立てて行われるが、検察が異議を唱えれば認められない場合が多い。はっきり言うが、罪を認め自白をしてない場合、認められないと考えてよい。少し日本の司法に詳しければ、ゴーン氏が罪を否認しているので百日も保釈されなかったのだなと思う。  などなど、言い出したらキリがないのだが、我が国が文明国と言えるのか。  ゴーン氏の身の上、真実は知りようがないが、明日は我が身かも。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

噓だらけの日本古代史噓だらけの日本古代史

ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作は、日本の神話から平安時代までの嘘を暴く!

1
2
3
13歳からの「くにまもり」

あなたが総理大臣だったら何をしますか?


嘘だらけの日独近現代史

世界大戦に二度も負けたのに、なぜドイツは立ち直れたのか?

おすすめ記事