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安倍政権は「民主党よりマシ」以外に何の成果を出したのか/倉山満

安倍首相に増税延期の信を問う資格はない

 それに対し安倍政治は、まったく違った意味で予想に意味がない。これまた将棋に例えると、与党も野党もヘボ将棋なので、定跡が通じないのだ。野球に例えると、「投げそこないを打ちそこなって、エラーと暴投と暴走が重なって、サードゴロがランニングホームラン」のような政治を、何回見せられてきたことか。  とは言うものの、この夏の参議院選挙は日本の運命を決める選挙である。しかも衆議院と同日選挙となると、一気に政権交代もありうる。自分の運命がどうなるのかは、考えておく必要がある。  もし衆議院を解散、同日選挙を断行するとしたら大義は何であろうか。誰もが思いつくのは消費増税だろう。  口の悪い人は言う。「いっそ、消費増税10%と憲法9条改正の信を問う選挙にしてみてはどうか。相手が今の野党なら勝てるのではないか」と。ただ、さすがに選挙直前になると野党連合が成立するだろうから、そう簡単な話ではないだろう。普通は、増税と改憲を掲げての選挙など、与党が反対する。  では、安倍首相が3度目の増税延期を掲げて総選挙を行う場合はどうだろう? それ自体が人をバカにした話である。経済的理由と政治的理由がある。一つは、安倍首相が2年前から「増税をやり抜く」と言い続けてきたことで、景気は停滞しているのだ。当たり前だ。たとえ今は景気が良くても、将来は増税して景気が悪くなるとわかっていて投資するバカはいない。  人不足で苦労しても、雇えない。これを経済学の用語を使って言うと、「アベノミクスの中核であるインフレターゲットの効果を、増税の公約が破壊しているので、景気回復は減速している」となる。となると、もう一つの政治的理由は明らかだろう。「ここまで増税を言っておいて、土壇場になってひっくり返すくらいなら最初から言うな」である。これを許しては、政治家の公約に意味がなくなる。  はっきり言う。安倍首相に増税延期の信を問う資格はない。増税できなければ、内閣総辞職して下野すべきだ。  もちろん、私はデフレ期の消費増税には反対し続けてきた。増税をして欲しいわけではない。安倍首相の手による増税延期は政治も経済も壊すので、反対だと述べているだけだ。
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