吉幾三のスゴみをしゃべり倒したジュニア
爆笑エピソードが連発するなか、トークライブはクライマックスへ
ここまでがっちり爪痕を残してきた三又。だが、
やはり主役はジュニアだった。満を持して表彰状を贈った相手は
「吉幾三」。昨年の「浅丘ルリ子」に続いて出た意外な大御所の名前に、会場の期待も膨らむ。
「吉さんって、作詞も作曲も歌も全部自分でやる。それで100万枚、200万枚という大ヒット曲を何曲も出していて、こんな人、演歌界では吉さんしかいない。業界でも、ものすごく尊敬されている方なんです。それなのに、
あの人の自分の作った曲に対する“ぞんざい感”って考えられへん!」
そう切り出すと、実際にライブを観たときの“考えられへんエピソード”を披露。
「とにかくお客さんを楽しませたいって気持ちがもの凄く強い人なんやろな、MCでずーっと漫談してて。『クジラとかイルカは哺乳類。トカゲとかヘビは爬虫類だな。で、キツネとタヌキは……』とくる。でも、
この時点ですでに『雪國』のイントロが流れ出してんのよ。普通、代表曲のイントロに漫談がかぶってるのだけでもありえへん。それなのに『キツネとタヌキ、ありゃメン類ですな』ってどうでもいいオチから、いきなり『好きよ~』って歌い始めるもんだから、どないなっとんねんと! もう訳わからんけど、同時に
『目の前のお客さんを楽しませるために、自分の代表作をここまでぞんざいに扱えるって、逆にめちゃくちゃかっこええ!』って、なんか痺れてしまって」
会場からは笑いとともに感嘆の声が上がり、さすがのトーク術で聴衆を唸らせた。
勝俣州和を巡り、ジュニアと三又が乱闘寸前に!
そんな
前半戦のクライマックスは、ジュニアと三又のコラボで訪れた。三又が表彰した「伝説のにけつっ!!」は、こんな若き日のエピソードから始まる。
「ボキャブラブームで俺が一番忙しかった頃、いつも遊んでいたのが東京進出直後でまったく仕事がなかったジュニア。当時、ジュニアは仕事もないから家でバラエティ番組を片っ端からチェックして、ボケたりツッコんだり、ずーっと自分が出演したときのシミュレーションをしてた。それを見るのが楽しかったんだけど、その時、あるタレントのことをめちゃくちゃディスってて。『なんでこんな元気なだけで何のひねりもないコメントをするやつがテレビに出まくってるんすか!』って、もの凄い剣幕よ。
まあ、勝俣州和さんなんですけど」
突然のぶっこみに慌てふためくジュニアだが、素知らぬ顔で続ける三又。
「その頃、二人の間で
『勝俣さんゲーム』というのが流行ってて。居酒屋に飲みに行ったりすると、勝俣さんのギャグの“シャー”をやってから、『三又さん、見てください! このビール、めっっっちゃ泡立ってる!』とか、どうでもいいことをとにかく元気に言うっていう」
「お前、どんだけ話盛んねん!」とたまらずジュニアが立ち上がって三又と乱闘になりかけると、三又もヒートアップ。
「でも、その後ジュニアが売れ出して、『にけつっ!!』の最初のゲストとして登場したのが勝俣さん。その時、『この人がいるからバラエティが回る』くらい褒めちぎってて、『あ、ジュニアもわかったんだな』と思うと同時に、『ジュニア、本当に売れたんだな』って実感したのよ。だから、
今日は俺に心を込めて禊のシャーをやってくれ! “悪意のシャー”じゃなく、“わかったシャー”を見せてくれ!」
一斉に
「“わかったシャー”って何やねん!」、「そもそもご本人、もう“シャー”言うてないし!」と方々からツッコミが入ったが、やがて意を決したジュニアがすっと立ち上がり、一世一代の“わかったシャー”を披露すると、謎の一体感が会場を包み込んだのだった。
禊の“わかったシャー”で会場が一体に
そして休憩を挟んで、ライブ配信なしの後半戦は「勝手に絶縁状」と題して「どうしても許せない人、納得がいかないものに対して一方的に絶縁状を送り付ける」トークライブが展開。会場限定のオフレコトークのため詳細は書けないが、表彰状よりも多くの“抱腹絶倒な絶縁状”が飛び交い、会場は大爆笑の渦に巻き込まれた。
大盛況のうちに幕を閉じた3日間にわたる「SPA!フェス31」。ぜひ次回は会場で生のトークライブの熱気を体験してみてほしい。
〈取材・文/日刊SPA!取材班 撮影/林鉱輝(本誌)〉