更新日:2023年03月28日 09:53
恋愛・結婚

妻からのDVに悩む夫が急増「お父さんは汚いから触っちゃダメ!」

 妻からDVを受ける男性が急増しているという。誰にも言えず思い悩む男性たち。その声に耳を傾けてみた。

妻からのDV被害に悩む男性が急増する背景とは

 エリート銀行員が妻を殺害し、母親の手を借りて遺体を埋める──。昨年7月に発生した、あまりにもセンセーショナルな事件の判決が、6月12日に千葉地裁であり、被告の男(37歳)に懲役15年、殺人を手伝った母親(64歳)にも懲役7年の刑が言い渡された。  いったい、この家族には何があったのかと世間の耳目を引いたが、男が供述した犯行動機は、強迫性障害の妻が設けた“潔癖ルール”によるストレスだったという。  割り箸で電気をつける、ドアノブを触る際はポリ袋を使う、ビジネスバッグを触ってから食器棚に触れないなどの作法を強要されて男は精神をすり減らし、揚げ句の果てに100回以上も殴られていたというから、もし事実とすれば地獄のような毎日だったろう。  男性から女性への暴力などは言語道断だが、実は近年は女性から男性へのDVも増加傾向にあり、他人事ではない。警視庁の発表によれば、配偶者からDV被害を受けた男性による相談件数は、’14年の181人から’18年の1571人と8倍以上に急増しているのだ。

実は珍しくない夫へのDV

 実際、夫婦間のトラブルを多く扱う森公任弁護士によれば、妻からのDVは珍しくないという。 「被害者の男女比で言うと4:6ぐらいで、妻からのDVというのは、そこまで珍しいものではありません。しかし、弁護士に頼らざるをえない状況の男性は深刻な方が多く、よく今まで我慢されましたね……と同情してしまうケースが目立ちますね」  DVには大きく分けて身体的暴力、精神的暴力、経済的暴力の3類型があるとされ、男性被害者は精神面と経済面で追い込まれるケースが多いという。 「女性によるDVの多くは、気分によって癇癪を起こしたり、夫を必要以上に管理したり、ネチネチと嫌みを言って追い詰める精神的なDVが目立ちます。あるいは、高収入の夫の小遣いが一日1000円なのに、妻は毎月100万円で買い物し放題だったなどという事例もDVにあたりますが、これは無自覚にやっている女性も多いようです」(森氏)  そんな無理無体な女など、スカッと離婚してしまえ……と思う男も多いだろう。だが、離婚調停の現場では、短慮である。 「たとえ女性側のDVが理由で離婚になったとしても、財産分与(※婚姻中に夫婦で築いた財産を分けること)は基本的には折半。慰謝料についても相場はせいぜい100万〜200万円ですが、これは財産分与で相殺されます」(同)  つまり、夫が稼いだ1000万円の財産があるとすれば、夫婦で500万円ずつ分け、その上で妻から夫に100万円の慰謝料支払いが命じられれば、最終的に財産分与は夫が600万円、妻が400万円となるわけだ。納得するのは難しいが、これが現実なのだ。
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夫へのDVがあっても子供の親権は妻へ
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