夏は各地でナンパの光景が見られる。某ナンパ師曰く、東京でいえば渋谷、新宿、六本木はもちろん、恵比寿や中目黒、三茶や自由が丘、北千住などのディープな下町でも夏ともなれば、毎晩のようにナンパを行う男がいるらしい。

写真はイメージです(以下同じ)
イベント会社で営業担当の矢部光雄さん(仮名・36歳)は、生粋のナンパ師。夏のナンパがバレてしまって妻に離婚された“ツワモノ”だ。
家出中の女性をナンパ! 自宅アパートに連れ込むも…
「神宮の花火大会の帰りに、渋谷で恒例のナンパを決行しました。僕を含めて男性4~5人でセンター街を中心にさんざんナンパをしましたが、結局ゲットできず、諦めて帰ったんです。住まいの最寄り駅で降りたら、1人の女性が駅の階段に座っていました。ナンパ玉砕したあとなので躊躇なく、その女性に声をかけたら、僕の家まで来ることになったんです」
女性は20代前半の清楚でおとなしそうな雰囲気。ロングヘアのさらさらの黒髪が艶っぽかった。
「女性は親と喧嘩して、家を出てきて電車に乗り、終電を逃してしまったと言っていました。駅で始発を待っていたらしい。僕は心の中で『神は見捨てていなかった!』と叫んでいました」
その後、その女性を自宅に招くことに成功。アパートに着いてからも、矢部さんは女性といろいろ話をしながら「どう口説こうか」ばかりを考えていたと話す。
「自宅に到着後、『疲れたでしょう。お茶を入れるから少し待って。紅茶でいいかな』と聞き、彼女をもてなしました。そしたらリビングに、元妻が置いていったアロマポットが出てきたんです」
矢部さんは、女性が好きなアロマを焚けば、いいムードになるはずだと確信。早速アロマポットを焚いた。
「アロマの甘い香りが漂ってきて、いい感じになってきたんです。そこで紅茶を飲んでいた女性に『ベッドで休んだら』と寝室に案内しました。そしたら彼女が突然、『このアロマは何なの?』と怖い顔で聞いてきたんです」
元妻の物とは言えず、適当にごまかしたという矢部さん。だが女性の追及は止まなかったそうだ。
「彼女は、チャライ人は嫌だという主張でした。きっと、僕が他にも女性を連れ込んでいると思ったのでしょう。だから正直に『元嫁が置いていったんだ』と話すと『未練がましい男はキモイ!』って返されて…。いきなり走り出したんです」
その女性はあろうことか玄関に向かい、ドアを開けて一目散に飛び出していったという。

「靴が残っていました。裸足で出ていったんですよ。あれには唖然としました」
家出をして知らない男の家に行き、突然裸足でどこかへ行く。どう考えても正常な思考力があったとは思えないが、矢部さんは未だにその靴を捨てられずに、玄関に置いていると悲しげに語る。
「これまで色々な女性をナンパしてきましたが、あんな子はいなかった。彼女の不思議な感性に魅了されたんですかね。ひょっとしたら、いつか戻ってくるかもしれないなんて思いから、靴はそのままにしてます」
ナンパがきっかけで離婚した男の感性も、よく分からなかった。