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コンビニから“成人向け雑誌”が消えた本当の理由

 コンビニからアダルト本が消えた日――日本の性文化を語る上で、歴史的な節目が訪れた。セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートの大手コンビニ3社が8月末をもって「成人誌」の販売を中止したのだ。 コンビニ

コンビニと成人誌の蜜月関係に終止符

「オリンピックを控えて、訪日外国人へのイメージ低下を防ぐ」「未成年や女性への影響に配慮する」など、このような理由が表向きは並べられており、「子供の目が届く場所からアダルト成人誌がなくなるのは良かった」と歓迎する声も少なくない。だが、「本当の理由は別にある」と『日本エロ本全史』の著者である安田理央氏は語る。 「まず、今回の一件で『18禁のアダルト雑誌なんてなくなって当然』と誤解する向きもありますが、コンビニの“成人向け雑誌”というのは、あくまで青少年健全育成条例に準拠して、業界独自で判断した“類似図書”という分類。  同条例によって’01年にはコンビニ内での成人コーナーの設置と隔離、’04年には立ち読みできないようにする“2点留め”の義務化など規制が入りましたが、決して18禁の“不健全図書”が販売されていたわけではありません」  つまり、「どこからが不健全なエロか?」という明確な線引きがないまま、’80年代から続くコンビニとアダルト成人誌の蜜月関係に終止符が打たれることになったのだ。 「その最大の理由は、『売れなくなったから』にほかなりません。ネットの浸透とともに、かつては10万部売れるのが当たり前だった販売部数は急落。出版社側も予算をかけられないので、アダルトDVDを紹介するだけの“カタログ本”に走ったり、エロ本の華であった企画性を捨て始める。  当然、クオリティは下がり、ますますジリ貧になります。こうした状況は’00年代から始まっており、中年男性の思い出の中に咲く“オレたちのエロ本”は、とっくの昔に終わっていたのです」  その意味で、コンビニから消えるのは自然な流れどころか、今さら感すらあると安田氏。すでに消え去る運命にあったアダルト系の成人向け雑誌だった。 <取材・文/週刊SPA!編集部> ※週刊SPA!9月10日発売号より
週刊SPA!9/17・24合併号(9/10発売)

表紙の人/宇垣美里

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