デジタル

なぜ『moon』は伝説と呼ばれるのか?アンチRPG『moon』が奇跡の配信スタート

ゲームコラムニスト・卯月鮎

卯月鮎

『moon』 Nintendo Switch/Onion Games/1980円(税込)/10月10日配信開始  10月10日にNintendo Switchで、1997年に発売されたPS1用RPG『moon』の完全移植版の配信が始まります。配信元は『moon』のスタッフが立ち上げ、『Million Onion Hotel』『BLACK BIRD』などアーティスティックなゲームで知られるインディースタジオのオニオンゲームス。  そもそもの開発元だったラブデリックが解散し、アーカイブ化は絶望的と言われていたタイトルだっただけに、移植が発表された9月5日のニンテンドーダイレクト直後は、名だたる大作を押しのける勢いで『moon』がトレンドワードにあがりました。なぜ『moon』は伝説と呼ばれるのでしょうか。

『FFVII』が大ヒットするなど、RPG全盛時代の1997年に発売された『moon』

個性際立つ新鮮なプレイ感

『moon』には、それまでのゲームではあまり見られなかった新鮮な仕掛けが数多くありました。舞台は一見、典型的なRPG世界。しかし、ジャンルとしては謎解きアドベンチャーに近く、ゲーム内の曜日や時間帯に沿って決まった行動を取る住人たちや、出没するアニマル(モンスター)の魂をよく観察し、違和感のある行動を取ったらその謎を解いていきます。  つまり『moon』は観察するゲーム。何か起こるかもしれない、そんな期待を抱きながら、変わらない画面をずっと見続けることもしばしば。ただ待つという無意味な時間が、ゲームプレイの本質に取り込まれているのが印象的でした。

ジャンル的にはアドベンチャー。フィールドを歩き回ってゲームを進める

 今となっては当たり前になりましたが、住人たちがモゴモゴと何語ともつかない言葉をしゃべるのにも驚かされました。『指輪物語』のトールキンがエルフ語を創造したように、言葉による異世界性が確かにそこにありました。  また、ゲーム内で入手する数々のMD(ムーンディスク)をBGMとして流せるのも画期的な仕掛け。音楽のジャンルはクラシック、テクノ、ジャズ、アンビエント、津軽三味線……と多岐にわたり、いずれも尖っていてセンスの塊。この『moon』のMD群が収録されたサントラは数万円で取引されるプレミアとなっています。私もゲーム内で「宇宙のお祭り日」「I’M WAITING FOR THE NIGHT」「月アカリじょんがらロード」あたりをよくかけていました。

ゲーム中にさまざまな場所から入手できるMD。どの曲もエッジが効いている

次のページ 
ゲームを裏側から見る衝撃的なシナリオ
1
2
Cxenseレコメンドウィジェット
おすすめ記事