更新日:2023年04月20日 12:43
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スナックに集う独居老人が吹聴するインチキくさい武勇伝、目的は「性器を舐めたい」?

中島の武勇伝には女も登場してくる

 典型的な女に飢えたスケベおじさんである中島の武勇伝には、過去の仕事のみならずちょいちょい女が登場する。俺の身体を上から下まで面倒見てくれた美人秘書、とかパーティーの夜に俺に抱かれたミスコン女子大生、とか路地裏でフェラチオしてくれた人妻とか。別にその妄想じみたラインナップ自体に興味はないしどうでも良いんだけども、そこから展開される彼の下ネタは、面白がって聞くにはあまりにも生々して汚い。というかたぶん全然面白くない。  どう面白くないのかというと、彼は全体としての下ネタを好むというよりも、性器の話が大好きなのだ。締まり云々から始まって赤ちゃんのようにつるつるだとか匂いがどうだとか、彼の口にかかると、美人秘書もミスコン女子大生も人妻も、みんな性器だけを切り取って語られてしまう。ストーリーとしての面白さに欠けている。  ある時、彼は海外旅行先で十円(日本円)で未開の部族の女を買った話をした。言葉の通じない不自由さやセックスの流儀の違いとか体験したこともない舌技とか色んなディティールや感情を織り交ぜて話してくれれば多少は楽しめそうなものの、話されるのはひたすら部族の女性の性器の見た目と匂いの話だったので非常にげんなりした。  みんなに呆れられるほどに下ネタ大好き人間なわたしをげんなりさせるって相当戦闘力(?)が高くて、隣で耳を傾けていた若者なんかはドン引きしていた。川越さん(第四夜参照)レベルの下ネタを提供しろとは言わないが、これほどつまらない下ネタを話す人間に邂逅したのは人生で初めてだったかもしれない。  わたしがさらにげんなりしたのは、その性器トークを自分に向けられた瞬間だった。中島は「顔を見るとその女性の性器の形や締まりがわかる」らしくて、「お前は別に俺が相手にするレベルの女じゃないけど、顔からすると絶対赤ちゃんまんこで俺の好みだから舐めさせろ」というわけだ。これが口説き文句のつもりなら最悪だし、一ミリも興味が湧かないし、そもそも赤ちゃんまんこってなんだよ? それ以前に、読者のみんなにも再度認識してもらいたいんだけど、七十の差し迫った老人が何を言っているのか。  そんなこんなで、大体どんな話をしていても性器を舐めさせろという要求に回帰するのだ。
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ぽつりと漏らした中島の本音
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(おおたにゆきな)福島県出身。第三回『幽』怪談実話コンテストにて優秀賞入選。実話怪談を中心にライターとして活動。お酒と夜の街を愛するスナック勤務。時々怖い話を語ったりもする。ツイッターアカウントは @yukina_otani

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