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大化けする企業を見分けるコツ。激安印刷で150%成長、ラクスルの事例から

 今、急激に成長拡大を続けていることで話題となっている「ラクスル<4384>」という会社をご存知でしょうか。ラクスルは、デジタル化が進んでいない印刷業界の非効率な領域にECを持ち込み急成長した会社です。

ラクスルのホームページ

 当時、インターネットが普及していない印刷業界で、自社で印刷物を販売するECサイトraksulを立ち上げたことで、産業構造の変革を実現した同社(企業や個人が、印刷の注文をネットで24時間でき、最短翌日に届く。チラシ1枚1.1円〜など格安)。  さらにこのraksulの成功にとどまらず、物流マッチングサービス「ハコベル」、テレビ広告業界へと参入領域を次々と拡大させています。このラクスルの成長プロセスを追うことで、「今の時代に勝ち続ける企業」、ひいては株価が長期的に上がる優良企業を見抜くコツをお伝えします。

ポイント1:古くて市場規模が大きい分野で勝負している

 現在、ラクスルは印刷・広告の「ラクスル」、そして物流の「ハコベル」、二つのサービスを展開しています。  ラクスルが参入する2009年以前の印刷業界は、大日本印刷と凸版印刷の二社が市場の半分以上のシェアを占め、それ以外に全国約3万社の印刷会社が存在するという「多重下請け構造」になっていました。これは、複数の企業が切磋琢磨し、競争を続ける他業界に比べて非常にいびつな業界だったと言えるでしょう。  そんな印刷業界に効率化を導入したのがラクスル。同社はたまたま印刷業界に参入したわけではありません。ここにラクスルが勝てた一つ目の大きなポイントがあります。  それは、市場規模。  現在、国内の印刷業界は3兆円、広告業界は5兆円、トラック物流業界は14兆円の市場規模があります。これだけ大きな市場規模を抱えていたゆえに、ラクスルは印刷業界の効率化を進めただけで急成長できたのです。

売上好調、増収、サービス絶好調!

 そんなラクスルの売上はどのようなっているのでしょうか。  ラクスルの今期の売上高は171億6800万円と前期比153.6%の成長。営業利益・当期純利益も2018年度時点で黒字転換しており、成長性の感じられる売上となっています。  さらに詳細を見てみると、ラクスルの売上高のうち約91%は印刷事業。残りの9%が運送事業となっています(2019年7月期の決算短信のデータ)。  印刷事業の「ラクスル」の累計ユーザーは、現在93万人まで登録者を増やしており、すでに登録者数100万人が見えてきている状況です。加えて、新規事業の運送サービス「ハコベル」の売上が 15.4 億円。こちらも前期比で202.8%の増収という結果になっています。全体の売上高の構成比を見ると、印刷のECサービスが特に拡大しています。  現在は、印刷部門の割合が通期で67%ですが、ラクスル社長の松本恭攝(やすかね)氏によれば、今後はさらにこの割合を増やしていく予定だと言います。

ポイント2:印刷、物流業界にはびこっていた「需給ギャップ」の解消

 さて、売上からも絶好調であることがわかるラクスル。1つ目のポイントで説明した「市場規模」以外に急成長できた要因はどこにあるのでしょうか。それは「需給ギャップ」です。  ラクスルが参入した印刷業界は、需要が大きいものの、供給が限定されていた業界と言えます。なぜなら凸版印刷と大日本印刷の最大手2強で市場を寡占しており、多重下請け構造であることから、スピードが遅く、コストもかかる業態だったからです。そのため、インターネットのサービスを導入したことで一気に成長できたのです。  もう一つの事業である物流業界も、EC市場の成長もあり、需要が伸びているものの、商品を運ぶドライバーが足りないという供給面の不足が叫ばれていました。こうした「需給ギャップ」をインターネットによって解消していった点にラクスル急成長の秘密が隠れていました。
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急成長できた3つの理由
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