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おっさんは、全てにおいてタイミングが悪い。そりゃもう壊滅的に――patoの「おっさんは二度死ぬ<第69話>

やはり、おっさんとサプライズは相入れないのだ

 「さあ、ロウソクを吹き消してください!」  人生でかなり上位に位置する意味不明さのスピーチが終わると、隼人君の声が暗闇に響いた。黒いシルエットは戸惑っている様子だ。やはり徳山さんはサプライズとか苦手だったのだ。表情を伺い知ることはできないが、どうしていいのかマゴマゴしているのはわかる。  「さあ!」  隼人君が元気に促す。  徳山さんはおそるおそるロウソクの炎を吹き消した。その瞬間、おめでとーという歓声が響き渡り、バシンと照明がつけられた。  やはり徳山さんは戸惑っているのだろう。もしかしたら少し困っているかもしれない。どんな表情をしてるのだろうか。眩いばかりの明かりに照らされた徳山さんの表情に注目した。  「だれ?」  そこにいたのは作業服に身を包んだ外国人だった。  「あらドクちゃんじゃない!」  節子が声をあげた。どうやら徳山さんのところに住んでいる外国人らしい。  「キョウハ トクヤマサン オソクナル イイニキタネ」  とか言ってやがる。早く言えよ、なに言われるがままにロウソク吹き消してやがるんだ。関係ない外国人に1200円借りた感動スピーチした僕がピエロじゃないか。  「そんなあ」  そう弱々しい言葉を隼人君が発すると同時に絶妙のタイミングで「夢芝居」の前奏が流れてきた。やめろやめろ。誰が歌うっていうんだ。何がからくり夢芝居だ。  結局、おっさんとサプライズの親和性はやはり低い。それはおっさん自体がそういうのがあまり好きではないということもあるのだろうけど、なにより、おっさんは間が悪いのだ。決定的に間が悪いのだ。そんなやつをサプライズにかけてはいけない。  誰にも歌われない「夢芝居」が淡々と流れている。それは「誰のすじがき花舞台」の歌詞のあたりだった。 ロゴ・イラスト/マミヤ狂四郎(@mamiyak46テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。6月29日、本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)を上梓。ブログ「多目的トイレ」 twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――

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