【3日目の朝】顔が四角になる
腫れが下に降りて来て、顔が四角になる。鼻血が止まる。人中と唇が激しく腫れてなぜか歯まで痛いのでめくってみると、唇の裏側から歯茎にかけて全部がアザになっていた。
腫れとマヒで上唇が動かず、歯磨きにも苦労する。
目元のアザが黄色くなってきていて、少しだけ希望が見える。痛みは相変わらず顔全体がじんじんと痛み、鼻の奥に鈍痛がある。夜中になると発熱し、その都度痛み止めを飲んで体中を冷やす。
術後3日目、だいぶ腫れがひいてきた
地獄だと評判の鼻栓抜きは激痛だが、一瞬で終わった。こんな量のガーゼがこんな小さな鼻の穴に入っているんですか?という大きさのガーゼが血まみれで引っ張り出されて、なかなかグロテスク。
上原先生は鼻栓を詰める時に軟膏をまわりにしこませているらしく、よく聞く「血が固まってベリベリ剥がされて痛かった」というようなことはなかった。圧倒的感謝。
そして、鼻栓を抜いた後の幸福度はすごい。息が吸える。味がする。つばを飲み込んでも痛くない。目の側まで突っ込まれていた大量のガーゼが取れたことで、急激に圧迫感や頭痛がなくなり、腫れも引いていく。
ちなみにダウンタイム中一切、目頭切開と埋没法の痛みはなかった。もしくは鼻がツラすぎて感じなかったのかもしれない。ここから一気に回復に向かっていく。
【抜糸後】腫れがぐんぐん引いていく
抜糸はやや痛かったが、私に関して言えば「大したことないな」という感想だった。
目頭切開の抜糸は、痛いことで有名で、私の友人も「ナイフで刺されたような痛みで、手術の中で一番痛かった」なんて表現していたので覚悟していたが、やはりこれも個人差が大きい。「個人差」というのは、痛みへの強さや腫れの加減だけでなく、抜糸を担当する看護師さんの力量も関わってくる。私は運が良かった。
抜糸後は、異物がなくなったというのもあり、腫れがぐんぐん引いていく。この頃はまだ夜中になるたびに発熱して痛みがぶり返すせいで「ロキソニンジャンキー」になり、鎮痛剤の飲み過ぎで胃が荒れて泣くというありがちな道を辿ったが、最悪だった2~3日目に比べれば、痛みや腫れも随分改善してきていた。
横から見ると、腫れがよくわかる。鼻がもったり腫れて、額から鼻が生えたアバター顔になっている。時折、鼻の手術のダウンタイムを「1週間程度」と伝える医者がいるが、この顔で会社に行けるかと考えると、なかなか難しいと思う。なかなかの不自然さだ。
ちなみにこの頃、仲の良い友人と電話をしている時に親切心から笑かされて大爆笑してしまったせいで、鼻の皮膚をかなりの力で動かしてしまい、激痛が走った。それ以外にも洗顔や、化粧水を塗るために皮膚を触ると、糸を入れた部分が痛い。
【10日目】アザラシに鼻を噛まれる夢を見た
はじめて化粧をする。鼻の付け鼻感はまだまだ激しいが、外に出られる程度の腫れに治ってきた。ここにきて気づいたが、目頭と鼻翼の傷跡が綺麗すぎて驚く。コンシーラーで簡単に隠れる。
ただ、1週間近く洗顔できなかった代償は大きく、鼻の毛穴の開きと詰まりが泣きわめきたいレベル。ザラザラでまるでフラクショナルレーザーのダウンタイム。ファンデーションは全く乗らない。
ちなみに触ると痛いので、化粧はひと苦労。鼻の中の腫れで時々息がしづらいが、静止時の痛みはほとんどなくなった。人中のマヒはまだ残っていて、笑っても前歯が一切見えない。
そんな中、うたた寝中にアザラシに鼻を噛まれる夢を見て思いっきり鼻に力を入れてしまい、ブチッッッッという感覚と激痛とともに目を覚ました。おそらく鼻の穴の中の内縫いの数か所が外れたのだと思うが、執刀医に確認するととくに問題はなさそうだったので、よしとする。アザラシは2度と夢に出てきてほしくない。
【2週間】鼻先が炎症を起こし、治療する
まだまだ鼻は腫れているが、初めて会った人には術後だと気づかれないレベル。この頃に鼻先が炎症を起こし、治療を行う。傷跡にできた大きなニキビのようなものに麻酔をして針を刺して膿を洗い流す作業が本当に痛かった……。
鼻柱(牛の鼻輪の位置)が膿んで貫通していたので、そこに針を刺し、抗生剤入りの水を使って洗浄してもらった。沖縄から急遽上京し、数日クリニックに通って、どうにかおさまる。
しかし、私の鼻には人工物(プロテーゼ)が入っているので、炎症のリスクは一生つきまとうのだ。そのことを改めて実感した出来事だった。
今回は運良く鼻先だけで治ったが、もう少し遅ければ、プロテーゼまで感染が広がっていたかもしれない。もしそうなれば、プロテーゼを抜去する羽目になる。しかも私の友人でプロテーゼを使った子達は、かなりの高確率でその道を辿っている。
沖縄と東京間でも大変なのに、韓国で手術をした後にこういうことが起こったら地獄を見るな、と、密かに思いを馳せた。