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合法大麻CBDが大人気の謎。そもそもCBDって何?

CBDを抽出する部位によっては違法

 日本で購入できるCBD製品は医薬品としては認可されておらず、あくまで嗜好品の域を出ない。具体的にどんな作用があるのか、海外の医療における大麻の利用状況に詳しい内科医の正高佑志氏は、CBDの有用性をこう語る。 「痛み・不安・不眠・鬱といった症状を緩和したり、抗炎症作用・神経保護作用・抗酸化作用があるといわれています。子供のてんかん発作を抑える薬としての研究がとくに進んでいて、’18年に『エピディオレックス』というCBD製品がFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を得て、アメリカの病院で処方されるようになりました。依存性は低く、重篤な副作用の心配もありません」  では、より効果的な摂取方法はあるのだろうか。 「オイルを口から摂取するのが一般的で、いきなり飲み込まず、舌の裏に垂らし、90秒ぐらいおいてから飲み込むと吸収効率が上がると考えられています。大量に摂ればいいというわけではなく、効果には個人差があります。少量から徐々に量を増やし、もっとも効果を感じられるポイントを探す作業が必要になります」  そして、ユーザーにとっての最大の関心事である法的な問題についても聞いた。海外の大麻関連書籍の翻訳に精力的に取り組んでいる三木直子氏は、日本における大麻の扱いの矛盾をこう指摘する。 「アメリカでは、大麻草のうちTHCの含有率が乾燥重量ベースで0.3%以下のものを『ヘンプ』と定義し、農作物として栽培することが広く認められています。  ところが、日本の大麻取締法では、花穂、葉、根に由来するものは違法であり、大麻草の茎と種子に由来するものは合法なんです。成分ではなく部位によって線引きされ栽培に厳しい制限が設けられており、世界的な動きとはズレてしまっているのが現状です」  専門家のお墨付きも出たことなので、記者も試してみた。独特の香りと味はマズかったが、数分後、心地よい落ち着きが訪れ、仕事を忘れて朝まで眠ってしまったのであった。

大麻取締法とは何なのか

 日本で大麻取締法が制定されたのは1948年だが、このとき日本を占領していたGHQの意向と、日本の農業従事者への配慮を折衷した結果、同法の規制は不合理極まりないものになった。
合法大麻はなぜ人気なのか?

種は食用、茎は繊維と昔から日本でも馴染みのある大麻だが……

 GHQは当時のアメリカと同様、栽培全面禁止を打ち出した。しかし、当時の日本は茎は繊維、実は食用にと、大麻栽培が盛んに行われていたのである。そうした農家の生業を奪わないよう、茎と種子は合法とされたのだ。  また、日本古来の神事にも麻は不可欠であり、新天皇の「大嘗宮の儀」においては、麻の織物「麁服」を供えるのが習わし。伊勢国一宮・椿大神社をはじめ、各地の神社でも祭具やしめ縄に使われていることが考慮されたのだろう。  こうして部位による規制をかけた結果、大麻取締法は、大麻の花や葉の所持は違法だが、それを吸引する行為については罰しない。被疑者の尿から出た大麻成分が、合法の茎や種由来のものである可能性を排除できないからだ。  日本の大麻を規制した当のアメリカで大麻解禁が進むが、日本は不合理を放置するのか。 【正高佑志氏】 内科医。医療大麻に関する、科学的エビデンスに基づいた正しい知識の普及をめざして活動する「Green Zone Japan」代表理事 【三木直子氏】 翻訳家。「Green Zone Japan」理事。『マリファナはなぜ非合法なのか?』(築地書館)、『CBDのすべて』(晶文社)などを翻訳 取材・文/松嶋千春・野中ツトム(清談社) 写真/dpa/時事通信フォト ※週刊SPA!2月25日発売号より
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週刊SPA!3/3号(2/25発売)

表紙の人/ 川崎あや

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