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自衛隊をコロナ対策で「成田派遣」すべきではない理由

医療従事者ではない自衛官も「成田派遣」される


「ダイヤモンドプリンセス号」の対処は閉鎖された場所での対処でした。省庁間協力として自衛隊の医療チームが応援に行き、その場所のニーズに合わせた薬剤官や輸送の支援となった経緯です。あの最初のなしくずし的な自衛隊の災害派遣は仕方なかったと思います。  さらに、成田空港の検疫や帰国者を待機所に輸送する業務に自衛隊を使ってはならない大きな理由はほかにもあります。自衛隊の隊員は営内で集団生活をしています。新型コロナウイルスは長い潜伏期間を持ち、ほとんどの感染者は軽微な症状で終わるため、無症状のまま感染を拡大させる危険もあります。秋田で営内居住の隊員に感染者が出ました。集団生活をしている営内居住者の1人がウイルスを持ち帰っただけで、爆発的感染を起こす危険があります。心配です。  そして、自衛隊内で爆発的な感染が起きれば、それはそのまま国家の安全保障への脅威となります。その危険を考えた時、帰国者をホテルに送迎する任をわざわざ自衛官にやらせていいのか? と疑問に思うわけです。防衛大臣も記者会見で言っているように、早期に感染防護具の使用法を伝授し、バス会社等に業務委託してほしいものです。コロナ不況に対しての経済効果にもなります。  自衛隊の成田派遣が始まってから14日後くらいに自衛隊員の感染者が発見されるかもしれません。そのときに感染がどこまで広がるのか、よく考えれば恐ろしい限りです。成田派遣には、医療に従事していない普通科や輸送科の自衛官も派遣されるようです。が、陽性感染者輸送も自衛隊の救急車よりDMAT(ディーマット=災害派遣医療チーム)の高機能救急車のほうがずっと感染者対策には向いています。  餅は餅屋です。  感染症対策には感染症を熟知した医療従事者が当たるべきです。自衛隊が災害派遣で活躍すれば好感度は上がりますが、その向こうで安全保障の能力がどんどん削られていくことを覚悟してほしいと思います。安易な便利使いにより、自衛官の健康だけでなく日本の国防能力そのものが脅かされていることにいい加減気付いてもらいたいものです。おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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