箕輪氏がセクハラ問題で謝罪。一連の発言にみる“言い訳のテンプレート”
2016年に、ライター・A子さんに対して、原稿料未払いに加えて自宅に押しかけるなどのセクハラ行為に及んでいたことを、文春オンライン(2020年5月16日)に報道された幻冬舎の編集者・箕輪厚介氏(「《絶対変なことしない》《でもキスしたい》幻冬舎・箕輪氏が不倫関係を迫った『エイベックス松浦自伝』出版中止の真相」)。
原稿執筆を依頼しているライターに対して、発注元である編集者が「絶対変なことしない」「でもキスしたい」などと口説くのは、明らかに強い立場を利用したセクハラであり、弁明の余地はないだろう。
箕輪氏は5月20日、自身が主催するオンラインサロンの会員向けに動画を配信し、セクハラ報道に対して「反省していない」「何がセクハラだよボケ」などと発言していたことを、文春オンラインがさらに報道した(幻冬舎・箕輪厚介氏「何がセクハラだよボケ」「俺の罪って重くない」「反省してない」オンラインサロン会員へ大放言《動画入手》)。
この発言がますます非難を浴びたことで、幻冬舎と箕輪氏は「不適切な発言であると反省しております」とコメント。さらに6月8日、箕輪氏は自身のツイッターで「一連の問題で不快な思いをさせて申し訳ございません」と謝罪した。
セクハラ被害を訴えられた男性の多くは、最初は自身の加害を認めようとせず、なかったことにしようと言い訳に終始する。そして、開き直りとも言える態度がさらなる非難を浴びると、ようやくかたちばかりの謝罪をするというのがお決まりの流れだが、箕輪氏も例外ではなかった。
そして、その言い訳や謝罪が「驚くほどテンプレ」であると指摘するのは、文筆家であり、恋バナ収集ユニット「桃山商事」の代表として多くの女性の恋愛相談、時にはセクハラ被害の相談にも応えてきた清田隆之さんだ。
本稿では、箕輪氏の弁明動画から謝罪コメントまでの一連の発言について、清田さんに分析してもらった。
《どうも~、傷心箕輪です》
「まず、最初の話題でセクハラ疑惑報道について触れることで、『俺は逃げてない』と強い自分をアピールしつつ、茶化すことで『自分は全然ヘコんでない』感じを演出していますよね。『傷心』という、自分が被害者であるかのような言い草も気になりました」(清田氏、以下同)
《内輪の中で言うと、徐々に相手の女性の異常性っていうのが知れ渡ってきて》
《さすがに箕輪さんこれでやられるのはおかしいんじゃない?っていう話がやっとこさ出てきたんで》
《あいつが一番キチガイじゃねえか、バカ》
「被害者女性を異常者扱いするというのも、多くのセクハラ加害者がやりがちな手段ですね。『メンヘラ』『ハニトラ』といった言葉で貶めることも多いです。実際箕輪氏は、セクハラ事件のこととは明言しないながらも『トラップ。よろしくお願いします。』とツイートして、自分はハメられただけだと示唆したりもしていました(該当ツイートはその後削除)。
『ちょっとしたセクハラくらい笑って受け流せ』といった抑圧に対してきちんと声を上げている女性を、男性中心の社会システムに「適応できていない」と判断し、“面倒でヤバい女”のレッテルを貼るために『メンヘラ』という言葉を使う男性は多いですが、理不尽に抑圧している側と、その理不尽に対して声を上げる側のどちらが異常なのかは明らかです。また、たとえ被害者女性のメンタルが不安定な状態だったとしても、当然ですがそれはセクハラ加害を免罪する材料にはなりえませんよね。
さらに、上記の発言は『内輪の中で言うと』と“ここだけの話”感を出して、バカな報道に騙される庶民と、真実を知っている選ばれた側の人間、という構図を演出しているようにも聞こえます。サロンメンバーは“こっちの世界(『死ぬこと以外かすり傷』より)”の人間だからわかるよね?と選民意識を煽り、『俺を疑うなんて情弱だよ』というメッセージを暗に発しているように感じられる。これはサロンビジネス、ひいては情報商材ビジネスなどで典型的なやり方なのかもしれません」(同)
自分はヘコんでいないとイキる
被害者をおかしい人間扱いし、自分こそが被害者であると主張
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