コロナ自粛明け「超過勤務」の恐怖。働き方改革も無視…
―[アフターコロナ症候群]―
緊急事態宣言が解除されたとはいえ、自粛生活を強いられた約3か月。その間に「体力が落ちた」「疲れやすくなった」「物忘れがひどくなった」「うつ病気味になった」といった不調を自覚し始めた人々は実に多い。“コロナぼけ”、アフターコロナ症候群といわれるものだ。これらがリカバリされないままだと、社会全体に停滞をもたらすことは必至だ。
アフターコロナ症候群の次にやってくるのは「超過労働うつ」
再び東京都などで新型コロナウイルス感染者が増え始めている。これを「第2波」と捉える向きもあれば、本当の第2波は秋風が吹く頃にやってくるともいわれている。
だが、産業医も務める心療内科医・内田栄一氏は「真の恐怖は別にある」と考えている。
この数か月、世界の企業のほとんどは機能していなかった。その遅れと損失を取り戻して仕事を再起動するためには、大量のエネルギーが必要とされる。するとどの会社でも「超過勤務」が当たり前になる可能性がある。リモートワークが定着したといわれるがその確証もまだなく、働き方改革が無視され、誰もが過重労働を強いられた場合、うつ症状が顕著に出てくるのではないか、というのだ。
「そうした状況は、おそらく今後3か月以上は続くでしょう。例えば7月から再起動のための労働が始まったとすると、3か月後は10月。ちょうどコロナの第2波が来るといわれている時期とぶつかります。しかも秋口は、もともとうつ病の人にとっては症状が悪化する季節でもありますから、過重労働によるうつ症状が重なり大変な事態が起こる可能性がありますね」
アフターコロナ症候群に悩まされながらも蟻のように働き、過労うつ状態に陥ったところへコロナの第2波が来るとなれば、免疫力が低下した体はウイルスをあっさりと受け入れてしまうかもしれない。そうなると、“コロナぼけ”どころの騒ぎではなくなるのである。
負の連鎖を断ち切るためにも、アフターコロナ症候群をできるだけ早くリカバリし、元の生活を取り戻すことが重要だろう。
【心療内科医・内田栄一氏】
「大塚・栄一クリニック」院長。専門は心療内科、産業医学、プライマリーケア。著書『心療内科医が教えるわが子の「危機」への処方箋』(日本文芸社刊)
<取材・文/週刊SPA!編集部 撮影/根田拓哉 モデル/豊沢朱門>
―[アフターコロナ症候群]―
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