スポーツ

コロナ禍の先に見えるスポーツの未来。リスタートする東京五輪への期待は?

~第77回~  フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。  2020年の東京五輪・パラリンピックが1年後に延期されました。当連載も一連のコロナ禍以降、見に行くべきものも動きも何もないという状況でストップしておりましたが、「1年」の節目にあたって心機一転したく思います。

幻の東京五輪開会式の日に国立競技場へ。すると…

 去る7月24日、幻の東京五輪開会式の日に僕は国立競技場にいました。傘がいらない程度の小雨がときおりパラつく曇り空は、もともと最大の懸念として取り上げられていた「猛暑」とは無縁のものでした。暑くもなく、寒くもなく、日差しに打たれることもない絶好の開会式日和。この日が開会式であったなら「心配されていたお天気にも恵まれ」とニッコリ笑顔の式典であっただろうと想像します。華やかに祝祭が幕を上げただろうなと。  国立競技場の周辺は閑散としています。もともと商業施設が立ち並ぶ区画でも住宅街でもありませんのでそれは平常のことです。神宮外苑からジョギングをしてくるような人が多少いますが、いたって静かなもの。走り去る東京五輪のマスコット・ミライトワが描かれたバスも乗客は少なく、東京五輪など存在しないかのような影の薄さです。  JR千駄ヶ谷駅から出て国立競技場を半周し、外苑門を目指して歩きます。通り過ぎる神宮第二球場の敷地にはプロ野球・東京ヤクルトスワローズののぼりが立っています。この日はちょうどヤクルトと巨人の試合が国立競技場の隣にある神宮球場で行なわれていました。五輪は開幕しないけれど、プロ野球は同じ日・同じ場所で行なわれていることに、少し救われるような気持ちになります。  この日、この時、この瞬間、この場所にはスポーツが確かにあったのです。五輪・パラリンピックという世界規模の意志決定は少し早めにしなければいけないので致し方ないことですが、もしかしたらギリギリまで尽力すれば「絶対無理」ではなかったのかもしれないと勇気づけられます。  すべての選手・関係者を出国前の隔離&検査、入国時の隔離&検査、そして選手村での隔離生活のなかで毎日の徹底した検査を行なうならば、スポーツをすることも世間にお赦しいただけたのではなかろうかと思えてきます。

通り過ぎた青山門前には旧・国立競技場の聖火台が設置されていました

神宮球場にはスポーツファンを出迎える横断幕

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開催を心待ちにするファンが集まっていた
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