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東京五輪でも注目!エンタメ化したネオ・フェンシングの魅力と課題

~第75回~  フモフモ編集長と申します。僕は普段、スポーツ観戦記をつづった「スポーツ見るもの語る者~フモフモコラム」というブログを運営しているスポーツ好きブロガーです。2012年のロンドン五輪の際には『自由すぎるオリンピック観戦術』なる著書を刊行するなど、知っている人は知っている(※知らない人は知らない)存在です。今回は日刊SPA!にお邪魔しまして、新たなスポーツ観戦の旅に出ることにしました。  この連載で視察してきた穴場競技のなかには、穴場を脱しようと改革をしてくるものもあります。コチラとしてはずっと穴場でいてくれたほうがありがたいのですが、やはり人気競技になりたいと願うのはやる側としても当然のこと。  最近、かなり人気競技化しているとウワサなのがフェンシング。原動力となっているのは、北京五輪で銀メダルを獲得するなど、競技者としても多大な実績を残した太田雄貴・日本フェンシング協会会長です。2017年に日本協会会長に就任した太田さんが、バツグンの知名度と柔軟な思考から繰り出す改革の数々は、確実にフェンシング界を活性化させています。  2018年12月には普段はミュージカルなどが行なわれる演劇場・東京グローブ座で全日本選手権を開催し、平均単価5000円のチケットが完売したといいます。僕も個人的に観戦をもくろんでいたのですが、購入が出遅れたためチケットを買い逃してしまいました。  2015年の視察の際、当連載ではフェンシングの穴場感について「会場はスッカスカ」「期待を遥かに超えるド穴場」「一見、人気がありそうで、ない」と評していました。変わってしまったのかフェンシングは。大きくなってしまったのかフェンシングは。都会に行った先輩が急に垢抜けてしまったみたいに、フェンシングはオシャレな人気競技になってしまったのか。この目で確かめねばなりません……!

ということで視察に向かった2019年の全日本選手権、会場はLINE CUBE SHIBUYAです

脱マイナー競技を目指すフェンシング界の挑戦

 かつて渋谷公会堂と呼ばれていた箱が、老朽化による建て替えを経て生まれ変わったこの施設。こけら落とし公演はPerfumeがつとめたという、まさしく「最先端」の会場。もちろんスポーツイベントが行なわれるのはこれが初めてです。渋谷の一等地という立地はもちろん、公演には電子チケットが導入されるなど「LINE」が噛んでいることでの最先端感も。とにかく雰囲気がオシャレです。  入場時には選手のプロフィールと大量の広告が掲載されたパンフレットが配布されます。表紙は篠山紀信先生が撮影した写真だそうで見た目からしてカッコイイ。2015年の視察の際には誰かがホチキスで止めたパンフレットを配っていたのに……。最後のページは「メモ」と書いてある空白だったのに……。フェンシングが立派になってしまった……。  さらに、パンフレットだけでなく一緒に携帯ラジオも貸し出されました。場内解説をラジオで流してくれるのだとか。ほかの穴場競技でもラジオを貸してくれるところはありますが、入場時に全員に渡してくるというのはだいぶ踏み込んだ姿勢です。「使いますか?」ではなく「使ってください」。ルールや楽しみ方を積極的に発信していこうという姿勢を感じます。

無料配布のパンフレットと無料貸出のラジオ

LINEの巨大なクマがいるラウンジスペースでは、VIP客用にワインの振る舞いも

「すごく贅沢な気持ち……」と思いながらの入場。しかし、フェンシングの攻め手はまだまだこんなものではありません。試合に先立つオープニングではプロジェクションマッピングを活用し、選手の剣先から光を放つなどド派手な演出を披露。場内MCによる司会進行、携帯ラジオを通じての場内実況&解説、巨大モニターには選手の煽りVTRやスロー再生でのリプレイなどを表示。  そして、ポイントが決まった際には通常の赤緑のランプによる表示だけでなく、「視覚に難がある人」にも体感してもらえるようスピーカーから「ズゥン」という重低音を出して振動で伝えるとのこと。五感をすべて使ってフェンシングの魅力を伝えようとしてきます。  必要性はあまり感じませんでしたが「選手の心拍数」を常に表示していたり、剣先の軌道をCGで可視化する「フェンシング・ビジュアライズド」という最新技術で複雑な攻防を表示してくれたりもします。とにかく工夫、工夫、工夫の連続で、さまざまな競技を観戦してきた僕も「これは新しい!」と唸ります。他競技でも大いに参考になる演出の数々でした。

場内モニターで煽りVTRやリプレーなどを表示

「フェンシング・ビジュアライズド」により剣先の軌跡を見せてくれる。「見てもよくわかんないな」とは思いましたが、とにかくスゴい技術です

選手の心拍数を常に表示することで、「ドキドキ感」を伝えようという工夫も

試合の合間には「声でキャラクターを操作する」フェンシングゲームで観衆を楽しませる工夫もありました

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“細かすぎる解説”で素人でも楽しめる工夫
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