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ウォーレン・バフェットが日本株を初買い。5大商社に60億ドルを投じた理由

2017年の株主総会。バフェット氏と当時はバークシャーの取締役を務めていたゲイツ氏(尾藤峰男氏撮影)

商社は協業先としても魅力的

 一方で、バフェット氏は「自分が理解できないものには投資しない」と成長著しいハイテク株にもなかなか手を出さなかったことで有名だ。「ラーメンからミサイルまで」を扱う総合商社のビジネスモデルは日本にしかないとも言われており、事業の全体像はつかみにくい。 「バークシャー・ハサウェイは、資源・インフラ・保険・食品・住宅と多岐にわたる分野の企業を傘下に持っているコングロマリット。そのためバフェット氏は投資先としてだけではなく、投資した商社との協業の機会にまで言及しています」  今後、バフェット氏は日本の商社株を9.9%まで買い増す可能性も示唆している。バフェット氏は株式を長期保有しながらも、「物言う株主」ではない。ただ尾藤氏は「バフェット氏が株を持っているというだけで商社には大きなプレッシャーがかかる」との見方を示す。 「今年4月に米国4大エアラインの株をすべて売却したように、バフェット氏はダメと思えば黙って株を売る。それもすべて手放します。バフェット氏が商社株を買い増しするか、そして持ち続けるか、それとも売るのかは商社のパフォーマンスにかかっています」  日本の商社株への投資額は時価60億ドルにも及ぶが、バークシャーの投資待機資金は1460億ドルまで積みあがっているため、「巨象が大砲ではなくピストルを撃ったようなもの」。尾藤氏は「常にバフェット氏は有望な投資先を探しており、日本市場を見捨てていないこともわかった。これを機に日本企業は大いに世界の投資家から注目されるように努めてほしい」と話す。 【尾藤峰男】 びとうファイナンシャルサービス代表取締役。 1978年早稲田大学法学部卒。日興証券に1999年まで21年在籍し、英国、カナダ、オーストラリア(現地法人社長)の3カ国に勤務。現在は、金融機関から完全に独立した資産運用アドバイザーとして、個人の金融資産や退職金の運用助言・ライフプランニング・サービスを、商品の販売手数料によらずに、フィー(投資助言料)のみで提供している。著者に『いまこそ始めよう 外国株投資入門』(日本経済新聞出版)、『バフェットの非常識な株主総会』(ビジネス社)がある。
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