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バフェットも認めた“総合商社最強説”。アフターコロナこそ有利な理由

コリドー街

商社マンが飲み歩く銀座・コリドー街

コロナ後に総合商社に未来がある

 では、今後総合商社はどうなっていくでしょうか。今、各国の政府や中央銀行は、新型コロナウイルスの危機から世界を守るために金融緩和を行っています。景気刺激策として給付金を発行したり、コロナのダメージが大きい航空会社や飲食業界などの企業の救済を行うために、金融市場に多額の資金を投入しています。この多額の資金供給が、後々インフレを招くのではないかとの懸念があります。  さらに、FRBのパウエル議長がインフレ率について、年間目標である2%を上回ることを容認すると述べていることからも、インフレリスクについての議論が大きくなってきています。  しかし、民間エコノミストの多くの見解では、アフターコロナの世界は、「インフレではなくむしろデフレになるのでは?」という声がほとんどです。消費者物価指数(CPI)の上昇は、思っているほどに簡単には上昇しない可能性が高いです。それよりも、過去のデータを見ても、大きな危機の後は、日本の卸売物価指数にあたる、生産者物価指数(PPI)が上昇しやすいのです。  つまり、ここだけ抑えてください。  コロナ後に景気が回復した際に、まず「BtoBの物価が上がりやすい」=「商社が有利な状況」が生まれやすいと考えられます。

バフェットの転向が起きていた

 先ほど述べたように、商社は幅広い産業に関わっているため、商社に投資すること自体が分散投資になるという見方もあります。そして、バフェット氏はどこか1社だけに投資したのではなく、日本の5大商社をまとめて購入しました。この取得方法からも、彼はリスク分散していることが伺えます。  商社のなかでも得意とする領域が違うため、バフェットは5社に全て投資することでリスク分散しながら、日本の商社業界そのものに投資をしたと言えます。コロナ危機によって世界の株価は大きく値下がりしましたが、金融政策によって株価の回復が進んでいます。  しかし、株価が大きく戻った企業の筆頭はアップルやマイクロソフトといったプラットフォーム企業ばかりです。アフターコロナの世界では、デジタル化がさらに進むといった見通しから上がり切ったこれらの銘柄の高値をさらに追うといった状況になっています。  バフェット氏は元々、割安で安定銘柄に長期投資する投資手法を得意としていますので、バフェット氏が買える銘柄は極端に少なくなってきているのです。  実は、バフェット氏は日本株と金に投資しないことで有名でした。しかし、コロナショックのなかで、彼の投資行動が大きく変わっているのです。日本の5大商社株を取得し、金鉱山の株も買っています。  危機的な状況の中では、今まで有り得ないと思われていたことが普通に起きるもの。こういった危機の中だからこと、当たり前を疑い、柔軟に対応していく必要があるのです。

アフターコロナは世界中から日本株にラブコール

 実は、今後も日本の総合商社株は注目される可能性が高いと言えます。バフェットはバークシャーは傘下の事業会社にエネルギー企業を抱えているため、日本の商社との協業も視野に入れているとも言われています。単に、割安だから購入しただけでなく、ビジネスでも連携していく考えです。  今回のバークシャーによる日本の5大商社への投資は、「日本への投資」という側面が大きく、世界の投資家があらためて、日本株を見直すきっかけになるでしょう。
馬渕磨理子

馬渕磨理子

<文/馬渕磨理子>
経済アナリスト/一般社団法人 日本金融経済研究所・代表理事。(株)フィスコのシニアアナリストとして日本株の個別銘柄を各メディアで執筆。また、ベンチャー企業の(株)日本クラウドキャピタルでベンチャー業界のアナリスト業務を担う。著書『5万円からでも始められる 黒字転換2倍株で勝つ投資術』Twitter@marikomabuchi
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