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ヤマンバメイクを貫く“溶接ギャル粉すけ”「派手じゃないギャルはギャルじゃない」

ギャルを貫き通すには苦労がある

 “マインドはギャル”は認められないと断言する粉すけ氏。仕事をしながらもギャルを貫き通すには苦労がつきものなんだとか。 「派手な服装と化粧、髪、ネイルがギャルのポイント。だから、この仕事をしていて困るのはネイルができないということ。すべてをギャルにかける覚悟だけど、職人においてゴテゴテネイルは命取り。仕事が遅くなるし、溶接する手袋も使えない。5分でやれることを10分かけてやるというのは職人失格なんです。私にとって、ギャルとして譲れないものが髪、職人として譲れないのは指先かな。  そもそも、仕事しながら派手でいるってすごく大変で。問題になるのはまず髪色。暗くすると理想のギャルにはなれないし、派手髪やめるくらいなら、もうそこでは働けない(笑)。髪色が派手じゃないとギャルじゃないんで。でも、ギャルって日サロ通ったり、維持費にお金がかかるから働けないのは自分の首を絞めるんですよね
溶接ギャル粉すけ

ネイルは職人のためやらない。割り切って通す筋を選ぶのも粉すけ流

女ってだけで職場のおじいちゃんに嫌がられるから、独立した

 ギャルと仕事の両立。その道を探して行き着いたのが板金屋の仕事だった。現在は、個人事業主として板金屋を営む彼女。仕事で独立するまでの過程にも紆余曲折があった。 「私はもともと職人として会社勤めをしていたんですけど、協調性がなくて、いろんな会社を転々としていました。町工場の人間関係って難しいんですよ。社長は評価してくれたけど、女っていうだけでおじいちゃん職人に嫌がられたり、いじめられたり。仕事は好きだけど、人とやっていくのに限界を感じたので、『もう独立するしかない!』と銀行にお金を借りて、工場を借りて、個人事業主になりました。経理とかも自分でやってます。今日はデスクワーク中心で、助成金の申請をする予定。  うちのコンセプトは“とにかく安く!”。『すぐまた泥だらけになるし、この穴塞いでくれたらそれでいいよ』みたいな重機とか、機動性重視の働く車がたくさんきます。誰もが新車みたいにピカピカしたいわけじゃなくて、『仕事の支障にならない程度に低予算でやってほしい』って需要は高いと思うんですけど、意外とないんですよね、そういう板金屋」  選択肢の少ない地方で、潜在的なニーズに応える仕事を創り出しながら古き良きギャルメイクを貫く。自分の欲を実現しながら現代に生きるカッコイイギャルは、SPA!世代のおじさんと分かり合えるのだろうか? 「ギャルって意外とおじさんと仲良くなるよっていうのは伝えたい。絡んできたり、ダジャレ好きだったり、『あざ丸水産』とか、『やばたにえん』とかね(笑)。ギャルとおじさんって似てるんで。昔の人って意外と堅苦しくなかったりするし、ギャルは楽天的だし、ノリが合うと思う。飲みの席でギャルと同じ席についてみたらいいんじゃないですか? おじさんってギャルのことすぐ馬鹿にするけど、磯丸水産で奢ってあげたりしたらかなり盛り上がそう。『二軒目いこ~!』って言われるかも」  一見、軽々しく映る生き方でも、その生き方を貫くには気合いがいる。軽いけどタフなノリで我が道を行く彼女のTwitterを覗けば、少しぐらいの悩みなら吹き飛ばしてくれるエネルギーがありますよ。 溶接ギャル粉すけ(取材・文 小西麗)
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