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ドコモ2980円新プランにみるNTT「大逆転の野望」。時価総額世界1位だった過去も

 12月3日、NTTドコモ(以下、「ドコモ」)が月額2980円(税別、以下同)の料金プラン「ahamo(アハモ)」を発表したことで日本中に激震が走りました。ドコモはなぜこのように大胆な料金プランを発表したのでしょうか。
ahamo

ahamo公式サイトより

 その背景にあるのは、NTTがグループの稼ぎ頭であるドコモを完全子会社化した点にあります。実は、今回のドコモのNTTグループ統合には、ある強い意図が込められていたのです。その背景には一体何があるのか。  CMに出演している星野源さんも驚くドコモの“対GAFA戦略”について私馬渕磨理子が3分間でお伝えします。

ドコモ料金値下げ、キーパーソンは菅義偉

 ahamoは、月額2980円で20GBまでのデータ通信を利用できるプランです。想定を超える料金値下げにauとソフトバンク、さらに新規参入した楽天など競合他社は驚きを隠せない様子です。  そもそも、携帯料金引き下げについては、菅総理が官房長官だった時代から掲げている政策でした。今年6月に発表された総務省の内外価格差調査では、ロンドン、パリ、デュッセルドルフなど世界6都市の携帯電話料金の中で、20GBのデータ量は東京が8,175円と最も高額だったのです。この結果に対し、当時官房長官だった菅氏は「日本の携帯電話料金は高すぎる」と発言。  これ以降、通信キャリア大手が20GBの料金プランの価格設定をどのようにするかが焦点になっていました。今回のドコモの新プランで競合他社が最も驚いたのは、格安ブランドではなくメインブランドの値下げに打って出たことです。なぜドコモはここにきて“攻め”のサプライズを仕掛けたのでしょうか。

NTTがドコモを完全子会社化した“旨み”

 もちろん、ドコモにとってはこれだけ大掛かりな値下げに乗り出した以上、業績への影響は避けられないと言えるでしょう。  既存プランの20GBデータ容量使い放題の“ギガホ”のユーザー数は2020年9月末で約620万人。このうち、何人のユーザーが値下げを求めてahamoに契約を移行するかが焦点になります。もし仮にドコモユーザー620万人のうち95%がahamoに移行した場合、年間2800億円の収入減になる試算となります。大幅な収入源になるリスクを抱えながらなぜ格安料金プランを発表したのか。  現状、ドコモはKDDI、ソフトバンクに続き大手携帯電話事業者の中で売上高3位に転落しています。そこで改革として最初にメスを入れたのが“人事”だったのです。  ドコモは、12月1日にあの幕末の大老として知られる井伊直弼の子孫である井伊基之氏が社長に昇格。この人事発表の意図はなにか。新たな役職の意思決定は、江戸時代から常に大きな改革をもたらします。  それは井伊氏も同様。NTTグループの澤田純社長は不振が続くドコモの立て直しを図ろうとしているのです。  今期中にドコモは非上場化する見通しであり、そうなれば少数株主の意向を気にせずに料金プランの変更ができます。NTTは、ドコモを完全子会社化することで財務基盤を固めようとしているのです。ドコモを取り込むことで、NTTは年間2000億円規模の最終利益を見込める計算になります。  さらに一部メディアの試算によれば、NTTはドコモを子会社化することで、自社株買いや自社以外への配当金を内部に留めることができ、そこで自社に残る現金は年間2500億円にもなるという報道も出ています。  つまり、ドコモは今回の料金プラン値下げによる売上の減少をNTTの小会社になることで十分補えるという試算をしているのです。
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かつては世界の時価総額ランキングで1位
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