更新日:2021年03月22日 15:27
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仕事や人生に行きづまったら。壁を壊す“たった一つの習慣”/出口治明

歴史と世界を知る「タテ・ヨコ思考」

 自分の軸をつくるためには「タテ・ヨコ思考」――歴史というタテ軸と、世界というヨコ軸を持つことが有効です。ここでも、インプットの量が重要なのです。  古代ローマ史を知らない、中国の古典など読んだこともないという人が、歴史に解を求めようとあわてて年表を引っ張り出してきたところで、得られるものはあまりないでしょう。ほかの国の事例を参考にしようにも、日ごろから新聞を読んだり海外ニュースを見たりしていなければ、その意味するところを理解するのは無理というものです。

最初は自分で選ばず、とにかく大量に取り込む

 インターネットの発達によって、世の中に流通する情報の量は、飛躍的に増加しました。最新の学術論文ですら、発表された直後にもう自宅のパソコンから読むことができるのですから、まったく夢のような時代です。  しかしながら、そこには正確でなかったり明らかに間違いだったりするものも数多く含まれています。そういう意味では玉石混交で、それもかなり石のほうが多いといってもいいでしょう。それで一般的には「インプットする際は、情報をよく吟味して、信頼性の高い、自分にとって有用なものだけを選び出すことが重要だ」といわれているようです。でも、僕は必ずしもそうは思いません。 書店 僕のインプット方法は「最初は自分で選ばず、とにかく大量に取り込む」というものです。自分に役に立つ情報だけを抽出することができればそれに越したことはありませんが、そんな芸当が最初からできるわけがありません。それであれば、自分のアンテナにかすったものはとりあえず片っ端からインプットする、と決めてかかるのです。

失敗の機会も多いほうがいい

「そんなことをしたら時間がムダになるのでは」という心配も要りません。必要か必要ではないかと迷っている時間のほうがもったいないし、取り込む情報の量が多ければ多いほど処理の速度が上がるからです。ときには「毒」にあたることもあるかもしれませんが、多少は痛い目をみなければ何が真実で何が偽物かを見分けられる目は養われないし、有益な情報を選別する勘だってうまく働くようにはなりません。  人間は失敗を通じてしか本当には学べないという習性がありますから、失敗の機会もまた多いほうがいいのです。画商は、何度も偽物をつかまされてはじめて賢くなっていくのです。
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(でぐち・はるあき)1948年生まれ。京都大学法学部卒。1972年、日本生命に入社し、ロンドン現地法人社長などを経て2006年退社。同年、現・ライフネット生命を創業、社長・会長を務める。2018年より立命館アジア太平洋大学(APU)学長。著書に『全世界史』『人類5000年史』『還暦からの底力』『カベを壊す思考法』など多数。Twitter:@p_hal

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