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コロナ禍で追い詰められる中高年ひきこもりたち。自立したくてもできない

 すでに1年以上に及ぶコロナ禍で、私たちの生活はあらゆる面で大きな変化を強いられている。なかでも大学では講義のリモート化が一般的なものになり、企業のテレワーク化についても同様だ。  1日のほとんどの時間を家で過ごすため、普通の人もひきこもり化が進んでいるなんて話も聞くが、彼らはもともと自宅に籠っていたわけではない。その点で本来のひきこもりとは異なるが、ではもともとひきこもりだった人はコロナ禍でどのような影響を受けているのだろうか?  なかでも深刻だと言われているのが40代以上の中高年ひきこもり。今回は長期のひきこもり歴を持つ2人の男性に、コロナ禍での厳しい現状について話をうかがった。

約12年間のひきこもり生活

ひきこもり(静野さん)

静野宏司さん

 地方都市の実家で年金暮らしの年老いた両親と暮らす静野宏司さん(仮名・45歳)は、90年代後半の就職氷河期のあおりを受け就活に失敗。大学卒業後は派遣社員として働くも20代後半になって正社員を目指そうと再び就職活動を行うも上手くいかずに挫折。ショックから派遣の仕事を辞め、そのまま自宅にひきこもるようになってしまった。  その後は短期のアルバイトをしていた時期はあるものの友人との交流も一切なく、約12年間ひきこもり生活を続けていたという。 「ただ、このままではダメだとわかっていたし、なんとか自分だけで生活できるようになりたいとも思っていました。正社員になるのは無理でも最低限自立できるだけの収入を得ようと思ったんです」

バイトの出勤日が激減。このままでは自立できない

 40代になって一念発起した静野さんが始めたのが飲食店の厨房スタッフのアルバイト。最初は週2~3日の出勤で身体を慣らし、1年半ほど勤めた後に同じバイトでもフルタイムで働ける別の飲食店に転職。ところが、1年も経たないうちにコロナ禍で臨時休業や営業時間の大幅短縮によって店の売り上げは激減。週5~6日のペースで働いていたが、半分の週2~3日勤務に減らされてしまった。 「仕事はキツかったですけど、それでも毎日働くということに徐々に慣れてきた時期でした。給料も月20万円前後もらえていたし、これなら1人でアパートを借りて暮らすこともできる。そんな風に少しずつ前向きに考えられるようになっていました。ですが、コロナのせいで全部狂ってしまいました」  現在は週4日勤務に増えたが、営業時間も短縮されているので収入は月10万円程度。実家にいる限りはこれでも十分暮らしていけるが、目標に掲げた自立には遠い道のりだ。
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15年近くまったく仕事をしていない男性
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■「中高年引きこもり支援団体合同相談会」
3月28日(日)10:30〜16:00(入退場自由・無料)
新小岩地区センター4Fホール(東京都葛飾区新小岩2-17-1)
http://tokanet.info/blog/goudousoudankai2020/
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