更新日:2021年04月15日 18:55
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スタバの紙コップやレジ袋有料化、本当に「環境」のためなのか

プラスチックのスプーンやフォークまで有料化へ

小泉進次郎

日本での海洋プラスチックごみのうち、レジ袋は全体の0.3%、ストローやフォークは0.5%。有料化されればスプーンは5円の見込みで、レジ袋込みで8円ほどの支払いが増えることになる

 政府はさらに小さいところに目を向けてプラスチックのスプーンやフォークまで有料化に踏み切ろうとしています。3月9日、プラスチックの削減やリサイクルを促進させる「プラスチック資源循環促進法案」を閣議決定したのです。  早ければ来年にもコンビニ等の小売店で有料化になる見込みとなっています。一言で言うと「しょーもな」です。  百歩譲ってマイバッグは折りたためるので、カバンに忍ばせてもいいですが、有料になったところでさすがにマイフォークやマイスプーンを持ち歩くことはないでしょう……。マイボトルならば飲み物の温度をキープできておいしい時間が長くなりますから、個人的にも夏場は特に愛用しています。  一方で自分のスプーンを持ち歩いたところでおいしく食べられるわけではありませんし、何より洗うのが面倒なので手間が増えるだけです。小さなことからコツコツもいいですが、プラスチックを減らすとか海洋流出を減らすというなら目のつけどころがズレていないでしょうか?

海洋流出は確かに懸念としてあるが……

 海洋流出は確かに懸念としてあります。海洋生物への悪影響だけでなく、その辺の海に漂着することで単純に景観も悪くなります。  環境省は「海洋ごみをめぐる最近の動向」という資料を’18年にまとめています。この中に「我が国での漂着ごみ調査結果」でプラスチック類の漂着ごみをまとめており、レジ袋は容量でいえば全体の0.3%しかありません。ストロー、フォーク、スプーン、ナイフ、マドラーはひとまとめにして0.5%です。  容量が大きいのは、漁網・ロープ・ブイ等の漁業関連のゴミです。これらを合わせると全体の半分ほどになってしまいます。一般人は漁網を使った漁はやりませんから、本丸としてはペットボトルの削減になるでしょうか。  飲料用ペットボトルは容量12.7%を占めるため、レジ袋に比べると圧倒的に漂着ごみとしてのポテンシャルが高いのです。しかしもはや飲料とペットボトルは切っても切れない縁があります。  瓶に比べて軽く、利便性も高い。落として割れることもありませんしね。ラベルを簡易なものにするなどはすでに導入されつつありますが、ペットボトル飲料自体を減らすのは難しい話でしょう。
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「とりあえず環境対策やってるアピール」のための有料化
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動画配信者、作家。1988年、北海道帯広市生まれ。2012年より、YouTubeとニコニコ動画にて「KAZUYACHANNEL」を開設し、政治や歴史、社会問題などのニュースをほぼ毎日配信する。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、ツイッターのフォロワーは11万人超。『日本人が知っておくべき「戦争」の話』など著書多数

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