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車椅子ユーザーの女性が告発した「JR乗車拒否問題」から見える問題

バリアフリー化の理想と現実

車椅子

※画像はイメージです

 車椅子使用者でも当たり前のように生活できる社会……ただ、現実問題、そのギャップは簡単に埋まるものではありません。法律はあってもそれを実現するには予算が必要ですし、エレベーターを設置するにしても工事には時間も人も必要なので、すぐにはできません。そして既存の駅だと構造的に設置が難しい場合も考えられます。  むしろ「階段の上り下りができる車椅子を早く普及させるべきじゃないか」という意見があって、まったくそのとおりだなと思います。今月から施行された改正バリアフリー法では一日の平均利用者が2000人以上の駅でもバリアフリー化が進められることになります。一歩進んだわけですが、それよりも小さい駅だと対応する義務はないということでもあります。無人駅は増えていくことが予想されますし、そう考えると技術の向上で安全に階段を上り下りできる車椅子を作ったほうが合理的です(といっても、まだ時間がかかりそうですが……)。

制度の整備と事前連絡。求められる互いの配慮

 伊是名さんはブログの最後で「声を上げていかないと何も変わりません。しかも声を上げ続け、味方を増やし、一緒に考えてもらい、たくさんの人で動いていかないと変わりません。」と書いています。  車椅子での生活というのは決して他人事ではありません。今普通に歩くことができる人も、単純に加齢による体の衰えもありますし、病気や交通事故だって考えられます。いつ自分が「車椅子に乗る立場」になるかわからないからこそ、優しい社会を模索すべきだと思うのです。しかし、伊是名さんのやり方はさすがにまずかったでしょう。このブログに共感するという人もいますが、賛否でいうと否が多く見られました。  事前に駅に連絡をしていたら、お互い変な思いをしなくて済んだのではないでしょうか。もちろん理想としてはふらっと駅に行って、当然のように目的地までストレスなく行けるということです。しかし現実問題、駅員にも限りがありますから、すぐに対応というのは難しい話です。仮に介助が必要な方がいきなり10人くらい重なってしまうと、対応は難しいでしょう。
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対応してくれた周囲への感謝を忘れてはいけない
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動画配信者、作家。1988年、北海道帯広市生まれ。2012年より、YouTubeとニコニコ動画にて「KAZUYACHANNEL」を開設し、政治や歴史、社会問題などのニュースをほぼ毎日配信する。YouTubeのチャンネル登録者数は70万人超、ツイッターのフォロワーは11万人超。『日本人が知っておくべき「戦争」の話』など著書多数

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