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サッカー長友佑都に学ぶ「母の日」の過ごし方

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第254回
佐々木

写真はイメージです

 サッカーの長友佑都は自分の高校時代について、「特別な高校3年間を過ごすことができた」と振り返っています。長友が入学した東福岡高校はサッカーの名門校で、毎年100人近くが入部して、その半分近くが辞めていき、残った全学年150人で切磋琢磨するという競争の激しい環境でした。  そうした環境で長友は毎朝5時半に起きて、朝食前にランニングなどの自主トレ。日中は授業をしっかり受けて、放課後になると部活の全体練習に参加。さらに夜の自主トレも休まずこなしたと言います。この努力の結果、2年生の冬にレギュラーの座をつかみ、3年生の時に全国高校サッカー選手権に出場しました。

地道な選手

 この頃の長友について、同級生でチームメイトだった坂本光は「ストイックに取り組むところは変わらない。試合に出られていない時から変わらず、トレーニングをやり続けていた」とインタビューで答えています。  地道なトレーニングが大切なことは誰もが知っています。しかし、それを実行するのは簡単ではありません。長友はなぜそうした「特別な3年間」を過ごすことができたのか。その理由になったのが、彼の母親です。  長友の両親は、彼が小学校3年生の時に離婚しました。それ以来、彼の母親は結婚式などの司会として働き、朝早くから出かけて、夜遅くまで帰ってこない日が多くなったと言います。そうした家庭環境で、中学卒業を控えた長友はサッカーの名門校で同時に進学校でもある東福岡高校を志望していましたが、そのこと言い出せずにいました。東福岡高校に進学するには地元の愛媛を離れなければならず、しかも東福岡高校は私立高校だったからです。  しかし、そのことを思いきって打ち明けると、母親は「母さんはあなたが自分からそう言い出すのを待っていたんよ。お金のことなんか、どうにでもなるから、子供が心配することじゃない」と長友の背中を押してくれました。このことについて長友は、「そんな母さんに対する感謝の心があったからこそ、僕なりに“特別な3年間”を過ごすことができたんだと思う」と理由づけています。

母親の一言がモチベーションに

 長友は母親の影響を受けて、「練習も勉強も怠らない」という信念を持ちました。このように信念は人間関係から生まれます。そして、数多ある人間関係のなかでも、生まれる前から始まる母子関係は極めて特別なものです。その影響は家族観や仕事観、生活観や人生観といったあらゆる価値観に及んでいます。  そのことに自覚的であることはとても大切です。親が食事を作ってくれたり、掃除や洗濯をしてくれたり、働いてお金を稼いでくれるのは、少しも当たり前ではありません。食事を作るのも、掃除をするのも、洗濯をするのも、働いてお金を稼ぐのも、大変なことだからです。子どもはそのことを一人暮らしを始めたり、バイトを始めたりしてはじめて自覚します。そして、その自覚の結果、「親への恩返し」という形で勉学や仕事に対するモチベーションが生まれます。
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小手先のテクニックは通用しない
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