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「なぜ報じない!」自粛警察の“情報提供”攻勢に悩むテレビ局スタッフ

 コロナ禍で注目を集めた「自粛警察」。日常生活のあらゆるシーンで他人の揚げ足をとり、痛烈に批判する。最近は報道される機会も減りつつあるが、その活動が終わりを迎えたわけではない。

昼夜を問わず延々と続く“情報提供”に悩むテレビ局のスタッフ

マスク

写真はイメージです(以下同)

 東京都内のテレビ局の情報番組スタッフ・星野雅通さん(仮名)が頭を抱える。 「芸能人・Aのブログに酒を飲んでる写真が上がっていたとか、女優・Xのインスタに“密な動画”が上がっていたとか、毎日のように“情報提供”してくる人がいるんです。最初こそ、へぇなんて思っていました。ですが、1日に何度もLINEや電話をよこしてきては、なぜ取材しない、取り上げないのだと、とんでもない剣幕で言ってくる」(星野さん、以下同)  星野さんが件の情報提供者・Sさん(女性)と連絡を取り始めたのは、コロナ禍の初期である昨年春。Sさんの職場で複数名の新型コロナウイルス感染者が発生し、その惨状を訴えるSさんのSNSの書き込みを見つけた星野さんがDM(ダイレクトメッセージ)を送ったことがきっかけだった。  電話インタビューの結果、Sさんはその職場に在籍した事実はあれど、当時はすでに退職済み。SNSの書き込みは知人から聞きかじった程度の情報、本人の思い込みからくる内容で、星野さんは報じるレベルにないと判断。放送されるとは限らない、と断りを入れた上で丁重にお礼を述べて電話を切ったのである。しかし、悪夢はそこから始まったという。

SNSに「取材されました!」と大興奮の書き込み

「Sさんは、テレビ局に取材されたと大興奮の書き込みを何度も投稿して、ついには私の名前まで出して、持ち上げ始めたんです。嫌な予感がしたので、早めに放送されることはない、とお伝えしたんです」  Sさんはこの時、まだ柔和だった。「そうなんですか、残念です」と引き下がってくれ、星野さんに激励の言葉をかけてくれるほどだった。しかし、胸を撫で下ろした星野さんの元に、同僚から連絡が入ったのはそれから一週間後のこと。  Sさんが星野さんの実名を出し、SNS上でテレビ局批判を繰り返していたのである。 「わかってもらえていたと思っていたので仰天しました。Sさんはテレビ局をマスゴミだと罵り、自分の貴重な情報提供が握りつぶされた、というような内容を書いていました。しかし私については、会社と戦っている云々となぜか褒めてくれていて。ワケがわかりませんでしたが、電話でやめてくれないかと話しました」  そしてこの時もSさんは柔和なままだったが、星野さんのLINEには、毎日のようにSNS上で知ったと見られる「情報提供」が寄せられるようになった。
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