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大麻解禁のサイパン「麻薬ツーリズム」の誘惑。日本人誘致に期待する現地の声

グアムでも小売業が許可される?

サイパン

写真はイメージです

 前出の、サイパン在住の日本人男性もこう話す。 「合法化前から、観光やダイビングに来る日本人に声をかけて大麻を売る連中がいたが、ボッタクリがひどかった。合法化されたら日本人を守るため、日本語が通じるディスペンサリの開設を目指しています。小売業ライセンスの取得には、在住歴5年以上などルールがあり、クリアしなければならないハードルもあるが、今から準備を始めるつもりです」  日本の専門家からは歓迎の声も。NPO法人「医療大麻を考える会」理事長・麻枝光一氏は言う。 「サイパンまで合法化の波が押し寄せてきたというのは感慨深い。サイパンに加え、グアムでも間もなく小売業が許可されると聞いています。グアムでは’14年に医療用が、昨年に娯楽用も合法化されました。栽培技術は高く、島津製作所のカンナビノイド分析器を導入している業者もいる。  グアム産の大麻のほとんどは有機栽培で、安全性についてもグアム政府の折り紙付きです。私は同政府から相談も受けていますが、コロナ終結が見えてくれば、日本人の大麻観光の受け入れを真剣に検討し始めるでしょう」

「日本の反社も目をつけている」

 一方、不穏な動きもある。裏社会の事情に詳しいフリーライターは匿名でこう明かす。 「大麻が合法化された国から、高品質の大麻を安定的に供給することができるので、仕入れ先としても注目されます。  北米で大麻の合法化が進んだ過去5年間で、日本に密輸される大麻の量は急増しています。押収量を見ても大麻草と大麻樹脂の押収量は10倍以上になっていますが、その4分の3が北米からの密輸。  現地で簡単に買えるので、報酬をちらつかせれば安易に密輸を請け負う人も少なくない。CNMIでの大麻合法化は日本の反社も目をつけています」
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法解釈は分かれるが逮捕リスクがある
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1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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詐欺師や反社、悪事に手を染めた一般人まで群がっていた

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