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大麻解禁のサイパン「麻薬ツーリズム」の誘惑。日本人誘致に期待する現地の声

法解釈は分かれるが逮捕リスクがある

 日本への密輸は言語道断だが、現地で吸うケースではどうだろう。日本政府は、現地での使用についても「ダメ。ゼッタイ。」という建前を貫いており、外務省もHPで「大麻(マリファナ)が合法の国であっても、日本で罪に問われることがある」と注意喚起する。  こうした政府の方針について甲南大学名誉教授で弁護士の園田寿氏はこう解説する。 「大麻取締法では『大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する』と定められています。さらに同法には、国外犯規定が適用されており、国外で抵触した場合も同様に罰せられるとされています。国の注意喚起は、その国外犯規定を根拠にしたものでしょう」  ただ、この解釈は間違っていると園田氏は主張する。 「同法にはわざわざ『みだりに』という言葉が書かれています。権威ある注釈書によれば、現地で合法であれば所持や譲渡も『みだり』とは言えない。よって、合法の国や地域で同地のルールにのっとって大麻を使用したのであれば、日本で罪に問われることはないと考えるべき」  厚労省の監視指導・麻薬対策課はこう述べる。 「大麻に関する国外犯処罰規定の適用についてはさまざまな解釈があり、実際に有罪になるかはケース・バイ・ケース。ただ、厚労省としては国民の健康を守る立場から、有害性を周知し、合法化された国や地域においても使用を控えるよう呼びかけていきます」  法廷では有罪にならないかもしれないが、法執行機関による逮捕や勾留の可能性は残るため、現時点ではリスクが高い。軽はずみな行動は控えたほうがよさそうだ。

大麻解禁!世界の最新動向

 厚労省は現在、これまでなかった大麻の「使用罪」の創設と、医療用大麻の解禁という厳罰化と規制緩和を検討している。ただ、世界的にみれば日本の大麻政策は世界の潮流から逆行しているようだ。アメリカ以外でも多くの国が大麻解禁に向けて動きだしている。 ・タイ 1月から、大麻の家庭での栽培や企業による加工・販売が認められ、医療用やサプリ、飲料などへの添加も認可された。大麻レストランの開業など、ビジネス面でも盛り上がっている ・韓国 お隣の韓国では昨年より医療用大麻が解禁された。現在は政府により厳格に管理された状態で、がんやエイズ、てんかん患者などの治療に用いられているという。娯楽目的では現在も違法 ・EU オランダは’90年代に世界に先駆けて首都のみ娯楽用大麻を合法化したが、現在EUではほとんどの国が医療用は合法、娯楽用は非罰則化という流れだ。今後は正式に合法化が進みそうだ ・メキシコ 3月に大麻合法化法案が議会を通過し、間もなく娯楽用も含め解禁される。国家単位での合法化としては最大の市場となる。麻薬マフィアの資金源を絶つことも目的のひとつだとか ・カナダ ’18年に娯楽用大麻を全面解禁。国全体の解禁はウルグアイに続き2か国目となった。このカナダでの解禁が、近年のアメリカでの州単位での解禁に拍車をかけたといわれている 取材・文/奥窪優木 写真/Shutterstock.com CNMI Governor Office
1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売

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詐欺師や反社、悪事に手を染めた一般人まで群がっていた
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