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取り調べ中にパンツの中から大麻が…熱血弁護士の奮闘劇<薬物裁判556日傍聴記>

裁判官が更生を促す言葉を

 判決は通例通りですが、被告が若く初犯だからでしょうか、判決後に裁判官が更生を促す言葉をかけます。 裁判官「執行猶予について説明しておきますが、すぐに刑務所に入るということはありません。しかしながら執行猶予期間中に何らかの犯罪を犯すと、執行猶予が取り消されて刑務所に入ることになります。その場合は、改めて犯した罪の刑の期間と、今回の執行猶予が取り消される刑の期間を合わせた期間、服役するということになりますから、長い期間刑務所に行くことになりますよね?」 被告人「はい」 裁判官「そのあたりも十分に注意してくださいね。そしてね、弁護人も今回色々と危惧されて、雇用主の方の書面などを用意していましたけど、あなたにとって大事なことはまず帰住先。寮があるようなので、まずは生活できる場に落ち着くこと。そして、しっかり仕事をすること。ツラいからといって前みたいにすぐに逃げてしまうと、またこういう道に走ってしまいますから。まずはしっかりした生活をして、そのうえで違法薬物には二度と手を出さないという固く決意すること。これをしっかりしてくださいね」 被告人「はい」          *** 弁護人の頑張りで、判決が変わることは現実にはあまりないだろう。とは言え、この弁護人の印象が最も残ったのは被告ではないか。 自身に寄り添おうとする弁護人の態度が、今後、被告がなにかの岐路に立たされたときに正しい道を選ぼうとする助力になるかもしれない。そう思うと、この法廷での弁護士の態度はムダではない気がする。 <取材・文/斉藤総一 構成/山田文大 イラスト/西舘亜矢子>
自然食品の営業マン。妻と子と暮らす、ごく普通の36歳。温泉めぐりの趣味が高じて、アイスランドに行くほど凝り性の一面を持つ。ある日、寝耳に水のガサ入れを受けてから一念発起し、営業を言い訳に全国津々浦々の裁判所に薬物事案の裁判に計556日通いつめ、法廷劇の模様全文を書き残す
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斉藤さんのnoteでは裁判傍聴記の全文を公開中。
note(https://note.com/so1saito/n/n17794fda4427
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