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<純烈物語>後上翔太が初めてヒーローになるための動機 兄貴分役として山本康平が意識したこと<第110回>

ラスボス・小林幸子がスクリーンでどう見えるのか

 悪の女王・フローデワルサ役であり、公開前から純烈に匹敵する話題性を振りまいている小林幸子をスクリーンで見るのも、山本は楽しみだった。本作り(台本)の段階でラスボスとして描かれていたキャラクターが、じっさい映像化されてどのような絵になったかは、作品におけるクライマックスに当たるだけに最重要ポイントと言えた。  純烈ジャーならではの要素と見せ場に満ちつつも、酒井がこだわった戦隊ヒーローとしての押さえどころがしっかり形となっている点にも、山本は唸らされたという。2月の制作発表会見の時点で、特撮マニアの間でも評判となった本格的な作りの戦闘スーツが躍動していた。

「カッコよくなっちゃった」釈然としない監督

「あんなにカッコよくする必要性があったのかというぐらいで、ハハハ。デザイン画の時点でも見ていたので、できあがりを見た時はこれ、できすぎなんじゃない? ちゃんとしているじゃん!ってなって。佛田監督に、カッコよくなりましたねと言ったら『そうなんだよ、カッコよくなっちゃったよねえ』って、いい意味で釈然としていませんでした。  でも、特撮ファンの皆様の反応を見てもデザインに(過去に酒井、白川、小田井が出演した作品の)オマージュが入っていることに気づいてもらったりで、そちらの方々にも喜んでもらえた。僕は種を植えただけであって、あとは純烈やスタッフさんが形にしてくれた。それがこうして世に出せるまでたどりつけることができて、本当によかったです。わずか二言三言の酒井君とのメールから始まって、ここまでのものになったんですから」  自分で動いたものが、作品になる。自身が出演したことよりも、その達成感の方が遥かに大きかった。  そして、その傍らには19年前に人生をともにした男がいた。山本は白川とのあの頃を回想し、語り始めた――。 写真提供/東映ビデオ
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売
純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。
白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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